【フィルム職人】村田 瞳さん(42歳)
リフォームの営業担当者にとって、熟練の職人さんは大切なパートナー。今回登場するのはフィルム職人の村田瞳さん。傷つきやすいフィルムを大切に扱い、丁寧な仕事ぶりで高い評価を受けている。
フィルムを大切に扱う
小さな作業の積み重ねが重要
「フィルムの気持ちになって貼っています。ガラスに乗せた時にフィルムがどうありたいか。よれていたら、上に引っ張った方がいいのかなとか、張り付いていたら水が足りないのかな、とか。フィルムの世話をしている感じです」
仕事をする上で大切にしていることについて、そう話すフィルム職人の村田瞳さん。フィルムはとても傷つきやすく、折れたら、使えなくなってしまう。窓に貼るフィルムはビリッと破けることはないが、折れるとエクボのような跡がつく(左写真参照)。フィルムを大切に扱うことが一番大事だと村田さんは考える。
折れないようにするには、2人がかりでフィルムを大きく広げて一気に貼るのがコツ。しかし、狭い場所で広げられない場合は、少しずつ貼りながら調整していく。
「どの作業も丁寧に行う。小さなことの積み重ねが重要になると思います」
▲折れてしまったフィルムの例。白い跡が付いている
フィルムの繋ぎ目はほとんどわからないレベルに
丁寧に作業しながらも、「フィルムのカットは攻めます」と村田さん。
大きなガラス面では、数枚のフィルムを貼り合わせる。フィルムとフィルムの間をピッタリ繋ぎ合わせるのが、村田さんのこだわりだ。
特に濃い色のフィルムは隙間があると、そこから光が入ってしまう。フィルムはサッシから2〜3ミリ離れた位置でカットする決まりがあるが、村田さんはそのギリギリを攻めている。
▲ほとんど目視ではわからないフィルムとフィルムの繋ぎ目(わかりやすいように、マスキングテープを貼っている)
▲気持ちを上げるためだけでなく、爪を守るためにもネイルをしている。「ネイルをする前は爪が折れることもありましたが、今はないですね。ネイルも職人仕事と同じ。下地を整えて、色を調合して塗る。見ているととても面白いです」と村田さん
人と人とのつながりが大事
さらなる事業の拡大を目指す
村田さんは窓フィルム以外にも塩化ビニル樹脂の装飾フィルムやブラインド、ロールカーテンなどの施工も行っている。こうした工事も増やし、事業を拡大したいと考えている。
個人宅で作業をすることが多いフィルム職人は、女性であることが強みになっていると話す村田さん。
「知り合いの職人さんから仕事を紹介してもらうことも多く、私もお願いできそうな仕事があれば、紹介するようにしています。人と人とのつながりは今後も大切にしていきたいです」
▲切れ味を保つため、一辺切ったら刃を折る。刃を取り替える時間を短縮できるよう、カッターはいつも6本腰袋に常備。個人宅で作業することが多いので、モノにぶつけないよう、薄めの腰袋を使っている
▲洗剤を入れた水をガラス面とフィルムの間に入れながら、貼っていく。この時の現場は店舗で、商品が日差しで焼けないよう、紫外線対策のフィルムを施工した
推薦の言葉
AsiaHome代表 徳山大さん
神奈川県横浜市でリフォーム会社を営んでいます。村田さんに仕事を依頼するようになったのは2年前。異業種交流会で知り合ったのが、きっかけです。
村田さんは仕事が丁寧でフットワークも軽く、柔軟に対応してくれるので助かっています。家の中に職人が入る現場では「女性だと安心」という声も聞きます。
夏は特に西日が強い部屋の窓ガラスに断熱フィルムを貼ったことで、冷房効果が高まったと、お客様に満足していただきました。
今後も窓フィルムの仕事は村田さんにお願いしたいと考えています。
村田さんからリフォーム営業担当者にメッセージ
「こうしてもらうと嬉しいなぁ」
窓フィルムの案件でわからないことがあったら、遠慮なく職人に相談してほしいと思います。
ある時、リフォーム会社から「個人宅の窓の内側に、遮熱フィルムを貼ってほしい」と依頼がありました。
施工当日、現場に行くと備え付けの家具を入れるとのことで、内側にフィルムを貼ることができませんでした。内貼り用と外貼り用ではフィルムの価格は違います。見積もりをすでに出した後だったので、価格の変更はできませんでした。
さらにお客様は「遮熱」ではなく、「UVカット」を希望されていました。営業の方から言われた内容が、お客様の要望とは違っていたのです。
フィルムは多くの種類があります。現場調査にも行きますので、最適なフィルム選びは職人に任せていただけたらと思います。
リフォマガ2023年1月号掲載
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