【THE SHOKUNIN】お客様が気づかない部分にこだわる真摯な家具作り

【木工職人】壺阪直樹さん(32歳)

リフォームの営業担当者にとって、熟練の職人さんは大切なパートナー。今回登場するのは木工職人の壺阪直樹さん。真摯に家具作りに向き合う壺阪さんの仕事ぶりを紹介する。



お客が気づかないところにも職人の気配り

一般住宅や店舗の内装設計・施工、オーダー家具・店舗什器のデザインおよび製作を手掛けている、DESERGO(デザーゴ)。

同社の木工職人の壺阪直樹さんは「特注の家具は、職人にとっては一案件ですが、お客様によっては、一生に一度の買い物です。製作する時は、自分の家の家具を作る気持ちで、完成した時には愛着が湧くくらいの思いを込めています」と話す。

壺阪さんのこだわりは、顧客が気づかないようなところも細かく配慮すること。観音開きの扉は閉じた時、木目が左右できちんと揃うようにする。扉を開け閉めする時の感触は強すぎず、弱すぎず、ちょうどいい力加減に落とし込む。「他にも、どこに置く家具なのかも考えて製作しています」と壺阪さん。

壁に打ち付けて、完全に固定する家具の場合、家具が重すぎると、壁が負けてしまい、ピタリと付かないこともある。家具そのものをなるべく軽く作り、壁への負担を減らす工夫をしている。また、家具を取り付ける他の職人さんにも配慮する。例えば、3連の吊り戸棚の場合、現場で組み立ててもらうことがある。そんな時壺阪さんは、どことどこを繋ぎ合わせるのか、家具本体に印を付けておく。

「以前の職場では、自分も現場で家具を取り付ける機会が多くありました。その時、繋ぎ合わせの指示がないと、いちいち図面を見て、サイズを測って確認しなければいけませんでした。それだけで、かなり時間のロスになります。現在の方法は、デザーゴに入社してから教えてもらいました。いつも勉強になります」

▲東京都大田区の工房で作業をする壺阪さん



デザイン性の高い木工製作にチャレンジ

アパレルブランドのショップの什器など、デザイン性の高い案件が多いデザーゴ。時には、アメーバのような曲線で形づくられた什器を製作することもある。

「曲げられるベニア板があるのですが、それを貼り合わせる仕事はこれまでやったことがありませんでした。特殊なものを手掛けられるのも、デザーゴの魅力だと感じています」と壺阪さん。

「木工の仕事はずっと憧れていた仕事。今後も楽しんでやっていけたらと思います」



壺阪さんが手がけた家具

▲美容室の家具一式

▲一般宅のキッチン

▲別の一般宅のキッチン

▲オフィスのごみ箱





壺阪さんからリフォーム営業担当者にメッセージ

「こうしてもらうと嬉しいなぁ」

造作家具を入れる前に、床や壁の仕上がり状況を教えてもらえたらと思います。リフォームの場合、寸法通りに作っても、家具がスムーズに入らないことがあるからです。

ある時、現場で吊り戸棚を設置しようとしたところ、天井の梁が引っかかって、入りませんでした。結局、吊り戸棚の角の部分を1cm角刈り込むことに。現場で家具を一度解体し、削ってから付け直しました。

他にも棚を置いてみたら、壁が斜めになっていて、家具と壁の間に隙間ができてしまったこともありました。壁にピッタリ設置する場合、クロスを貼る前に作業をさせてもらえると、家具のサイズを取り付け箇所ピッタリに造ることができます。完璧にクロスを貼った後だと、作業中、クロスを擦ってしまうこともあり、クロス職人さんにも申し訳ないです。

造作家具を入れる時は、作業工程の順番を調整してもらえると嬉しいです。



リフォマガ2022年10月号掲載

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『リフォマガ』は、株式会社リフォーム産業新聞社が発行する現場担当者向けの情報誌です。 リフォーム営業マンに役立つ営業テク、現場調査の方法、商品情報を発信します。 雑誌『リフォマガ』は毎月15日に発行。年間購読料8,800円。(税込・送料込)

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