【リペア職人】長谷川憲一さん(43歳)
リフォームの営業担当者にとって、熟練の職人さんは大切なパートナー。今回登場するのはリペア職人の長谷川憲一さん。接客スキルも高い。
超スピードなのに、高レベル
早く終わらせるのも大事
リペア職人の長谷川さんの作業スピードは速い。開業当初、新築現場の案件をたくさん請け負った。引き渡し前の家には、キズが100ヵ所以上あり、付箋が至るところに貼ってある。1日かかるような作業を、長谷川さんは半日で終わらせ、午後には別の新築現場で同様のリペアを行う。1年間でこうした新築のリペアを100棟以上こなし、作業スキルを向上させた。さらに、長谷川さんのスゴイところは、作業スピードを保ちつつ、0.1ミリレベルの精度を意識して仕上げているところだ。
「0.1ミリを意識しないと、うっすら影ができたり、筋が残ります。そうしたことがないよう、手で触ったり、光を当てたりして確認しています」と長谷川さん。
もう一つ、長谷川さんが速いのは、色を作るスピードだ。修復箇所に合わせて塗料を調合するが、「この色を加えたら、これと同じ色になる」という判断が速い。
「お客様から直接依頼を受けてリペアに伺うことも多くあります。お住まいになっているお宅での作業になりますので、キレイに仕上げるはもちろんですが、早く終わらせることも大切なサービスだと思っています」と長谷川さんは話す。
初対面時は目を見て挨拶
ホテルマンの接客を意識
リペア職人になる前は、飲食関係のサービス業に長年従事していた長谷川さん。カフェやレストランでホールに立ったこともあれば、店舗のウェブマーケティングの仕事も経験。そのため、接客にはこだわりを持っている。
「お客様と初めてお話しする時は、必ず目を合わせて『本日はご依頼いただきまして、ありがとうございます』と挨拶をします。そこから注意事項や電源をお借りすることなどを、3分近くかけて丁寧に説明します。イメージしているのは、ホテルマンの接客。最初に丁寧にお話しすることで、お客様の心のハードルが下がり、その後の作業もやりやすくなるんですよ」
身嗜みにも気を配る。作業着はいつも清潔に。上履きもおしゃれなデザインのものを持っていくようにしている。
▲長谷川さんが顧客の家に上がる時に使っているのは、アウトドアブランドのモックシューズ
HPを作り、個人客を獲得
いつかは海外進出
順調に思える長谷川さんの仕事だが、苦しい時もあった。起業時がコロナ禍と重なり、独立できる時期が後ろ倒しになり、無職の状態が続いた。近所の工務店などを回ってのドブ板営業をしつつ、自身でホームページを立ち上げた。「HPを作って、そこから個人のお客様からの依頼を増やそうと、1年間で200記事ほどアップし続けました」と長谷川さん。
主婦の方でも気軽に依頼してもらえるようなHPを心がけ、4ヶ月ほどすぎた頃から、個人客の依頼が増加。同時にリフォーム会社からの依頼も増えていった。
「僕はリペアとプログラミングは世界共通の技術だと思っていて、今後は海外にも進出したいと考えています。日本のリペアがどこまで通用するかチャレンジしたいです。チャンスがあったら、すぐにも行きたいですね。できたら、日本の若い職人も海外に連れていけたらとも思っています」
▲長谷川さんの工房の壁。愛用しているツールが整頓されている
長谷川さんのリペア例
▲欠けてしまったキッチンの天板も、欠損していたことが分からないほどの仕上がり
▲熱い鍋を置いてしまい、焦げ跡がついたキッチンカウンターの補修。跡形もなくなっている
推薦の言葉
原状回復PRO/first代表 山田一馬さん
これまで長谷川さんに数十件もの仕事をお願いしていますが、お客様から一度もクレームがありません。初めて依頼したのは、窓の木枠の修復。バリッと剥がれていた部分を完璧に復元してくれ、度肝を抜かれました。他にも、水浸しになった床暖房入りのフローリングを見事に復元してもらったことも。床を張り替えたら何百万円もする工事を、長谷川さんの技術で安く抑えることができました。
長谷川さんは電話対応もとても丁寧。長谷川さんとやりとりをしていて、一度も嫌な気持ちになったことはありません。僕が工事で困ってLINEで相談すると、「こうして直した方がいいですよ」とアドバイスをくれます。長谷川さんは人間的にも素晴らしい方だと思います。
長谷川さんからリフォーム営業担当者にメッセージ
「こんな営業さんはスゴイ!」
お客様の要望も、職人のことも理解して提案してくれる営業さんはスゴイと思います。リフォームは基本設備を交換することが多いと思いますが、リペアすることで美観を損なうことなく、工事費用も安く抑えることができます。こうした提案ができる営業さんは強いと思っています。
「こうしてもらうと嬉しいなぁ」
職人の意見を積極的に聞いてくれると嬉しいですね。玄関ドアを塗装する際など、ワントーン色味を暗くするだけでも、今のトレンドに合う色味に変わることがあります。営業さんと職人同士で、意見をすり合わせて、お客様に喜んでもらえるような提案ができたらと思います。
リフォマガ2022年4月号掲載
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