【タイル職人】関 仁志さん(35歳)
リフォームの営業担当者にとって、熟練の職人さんは大切なパートナー。今回登場するのはタイル職人の関仁志さん。難しい仕事ほどやりがいを感じるという、関さんの仕事ぶりを紹介する。
▲関さんの道具。右から手板、タイルカッター、レンガこて、目地を埋める「ゴムこて」、接着剤などの厚みを均一にする「くし目ごて」。一番左にあるこては、関さんが初めて購入したもので17年前から愛用している
難しい仕事を喜んで受ける「変態」という褒め言葉
他の職人が嫌がる仕事も喜んで受けることから、褒め言葉として「変態」と呼ばれることがあるという関さん。デザイン性が高く施工が難しい仕事の依頼が来ると「わ、面白そう!」と引き受ける。
「タイル職人として、こういう仕事をずっとやりたいと思っていました。今まで扱ったことがないタイルも多く、試行錯誤の連続ですが、これでまたステップアップできると考えています」
関さんのこだわりは、なるべく「切り物」を出さないこと。そのために割付を綿密に計算する。「毎日そこで暮らすお客様のことを考えたら、切り物なく美しく仕上げるのが一番いいと思っています」。強いこだわりを持っている関さんだが、自己満足にならないように気を付けている。「あくまでもお客様の希望を実現するように心がけています」と話す。
▲「wediboard(ウェディボード)」というドイツ製の内装工事用下地材を使った施工例。「防水加工などの工程を短縮できるのがメリット」と関さん。大理石のような風合いのタイルで優雅なバスルームに生まれ変わった
初対面の打ち合わせはスーツで礼儀正しく
父親の関幸一さん、兄の関和之さんもタイル職人。父からは「感謝」と「礼儀」は絶対に忘れてはいけないと言われ続けてきた。そんな関さんは最初の打ち合わせの時、作業着ではなくスーツで行く。
「初対面の時に汚れた作業着で行くのは失礼。それに気を抜いた格好をしていたら、仕事でも気を抜くのでは思われてしまう。常に緊張感を持っていることで、信用してもらえるようにしています」
その他にも、関さんは整理整頓を徹底している。現場はいつ施主が見に来てもいいように整理しながら作業。毎日自分が来た時よりもきれいに掃除して帰るようにしている。
施主がタイルに感動し、当初予算の4倍まで発注
関さんの仕事ぶりに感動した施主が「もっとタイルを貼りたい」と、予定の4倍もの発注額になった工事もあった。当初はキッチンと玄関だけだったが、洗面所やリビング、各部屋にまでタイルを使うことに。このリフォーム会社では、顧客アンケートで関さんのタイルの評判がいいことから積極的に提案し、売上を伸ばすことに成功した。
「仕事を発注してくれた会社に恩返しができました。これからも自分にしかできない仕事を追求していきたいです」と関さんは話している。
▲グリーン系の艶のあるヘキサゴンタイルを使ったバスルームの施工例。全部で3種類のタイルを組み合わせて、ゴージャスな空間に仕上げた
推薦の言葉
ボウクス マーケティンググループ 杉崎麻美さん
弊社ではタイルをはじめとする建築資材の提供から工事施工など、様々な事業を行っています。関さんにはタイル工事の施工をお願いしていますが、どんな仕事に対しても妥協なく、チャレンジ精神を持って、しっかり仕上げていただいています。また、お施主様にも丁寧に接していただけるので、どんな現場でも安心してお任せしています。
以前、レストランの入口に、ボーダータイルを貼る工事をお願いさせていただきました。アーチ状であったため、タイルを細かく加工しながらの作業となりましたが、カットした断面が見えないよう、現場に合わせて臨機応変な対応をしてくれました。結果的にアーチを活かした素敵な仕上げになり、お客様にも喜んでいただけました。
関さんは高い技術と柔軟性を持ち合わせている職人さん。これからもこだわりのタイルデザインを一緒に作り続けていただけたらと思っています。
▲ボウクスから依頼を受け、関さんが手掛けた洗面所のリフォーム。壁タイルには自然石の模様を再現した「バイオアーチストン」を使っている
関さんからリフォーム営業担当者にメッセージ
「こんな営業さんはスゴイ!」
リフォームの場合、工事が始まってから予想外のことが起きて工程がずれることがあります。でも、一度計画した日程が絶対にずれない営業の方がいます。現場調査の段階でしっかりチェックされていることに加え、腕の立つ職人さんに依頼をし、クレームが入らないようにしているのだとも思います。その営業さんの現場では、資材が足りなくなることも、余ることもほぼありません。私より年齢が若い方ですが、本当にすごい営業さんだと思っています。
リフォマガ2021年12月号掲載
0コメント