デザイン性と安全性のバランスが大切 階段

勾配が45度を超す場合は両側に手すりを

家庭内事故の中でも階段からの転落は多発しており、安全性が強く求められています。しかし、日本の住宅事情ではなかなか理想的な階段スペースを確保できないのが現状です。スペースを最小限に抑えるため「鉄砲階段」と呼ばれる直線の階段を採用することが多く、踏み外すと途中で止まることなく一気に転げ落ちてしまいます。昇降しやすく安全な階段を計画するには、階段の勾配と形状が大きなポイントとなります。

一般的な住宅の階段の勾配は、約45度。これは1階の床面から2階の床面までの約2.8mの高さを水平距離約2.7m(1.5間)で上がるイメージです。建築基準法の法定内ぎりぎりの勾配に比べると大分緩やかですが、バリアフリーを考えると決して安全とは言えません。国土交通省の長寿社会対応住宅設計指針によると、勾配は6/7(約41度)以下であることが望ましいとされています。また45度を超す場合は両側に手すりを設けることとしています。



商品選びのポイント

「踊り場」が安全対策にも役立つ

一般住宅の階段の種類は、「直階段」「かね折れ階段」「折り返し階段」があります。かね折れ階段と折り返し階段には、方向を変える「踊り場」がありますが、方向変換だけでなく、安全のためにも役立っています。万が一階段で落下しても、途中の踊り場で停止するため大きなケガをしないからです。しかし踊り場が2段あるいは3段廻りになっている場合は体を受け止めることができないため、安全とは言えません。そのような場合は、段があっても安定して昇降できるよう設計されているバリアフリー対応の廻り踏み板を用いると安心です。



1分間で理解する階段

チェック1 階段の基本3種類

【直階段】


【かね折れ階段】


【折り返し階段】



チェック2 国土交通省「長寿社会対応住宅設計指針」

●勾配は6/7以下とする。(やむをえない場合は22/21以下に。推奨は7/11以下)

●蹴込み寸法は2cm以内とする。(やむをえない場合は3cm以内)。出来る限り段鼻を出さない。

●安全面から最上段を廊下に食い込ませたり最下段を廊下に突き出したりしないようにする。

●勾配が45度を超える場合は両側に手すりを設ける。

●ノンスリップを設ける場合、踏面と同一面にする。

●蹴込み板をとりつける。また段鼻はなるべく出さないようにする。

●廻り階段は避ける。

●蹴上×2+踏面=55cmから65cmとなるようにする。



ワンポイント

建築基準法施行令第23条で、住宅の階段の寸法は幅75センチ以上、蹴けあげ上23センチ以下、踏ふみづら面15センチ以上と定められています。しかしこれはあくまでも最低寸法です。最低でもこれだけは欲しいという寸法を定めたにすぎません。その最低寸法で造った階段はかなり急勾配となります。しかも、15cmの踏面に足をのせると足が大分はみ出してしまい、不安定になってしまいます。



リフォマガ2021年5月号掲載

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リフォマガ

『リフォマガ』は、株式会社リフォーム産業新聞社が発行する現場担当者向けの情報誌です。 リフォーム営業マンに役立つ営業テク、現場調査の方法、商品情報を発信します。 雑誌『リフォマガ』は毎月15日に発行。年間購読料8,800円。(税込・送料込)

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