今月の輝く!リフォームセールス~現場近隣の成約率8割 隅々まで行き届いた心くばりで顧客の心をつかむ

今回登場するのは現場回りを大事にしている和田康昭さん。施主や近隣住民へのきめ細かい心配りで、「次はうちも頼みたい」と思わせ、現場周辺の成約率は約8割を達成している。

▲喜多建設(埼玉県狭山市)ハウスアドバイザー 和田 康昭さん(29)

1991年生まれ。東京都出身。7年前、外資系の保険会社から、外壁塗装専門の喜多建設に入社。埼玉県狭山市の本店に配属される。中学校まで野球をしており、スノボ、ブラックバス釣りもするスポーツマン。書道は毛筆二段、硬筆四段の腕前



飛び込み営業なし!現場近くの営業で成果

リフォームの飛び込み営業は難しい。ピンポーンと呼び鈴を押すのには勇気がいる。

和田康昭さんは入社当初こそ、飛び込み営業をすることがあったが、今はほとんどしていない。しているのは、現在進行中の現場周辺の家々への営業活動。そこでの成約率は約8割というから驚きだ。

「近隣の皆さんもピンポンを押されたくない。もちろん僕もあまり押したくありません。その分、なるべく現場に足を運んでいます」と和田さん。

最初のアプローチは工事前のご挨拶。この時忙しそうにしていたら「また伺います」と引き下がる。「ちょっとお時間いいですか」とは言わない。

次に行った時には「前回はタイミングの悪い時に伺って、すみませんでした」から会話を始める。この時点では営業はほとんどしない。

工事が始まると、少なくとも週に1〜2回、現場に顔を出し、近隣の人に挨拶をするようにしている。例えば前日に雨が降ったり風が強かったりした場合、「そちらにゴミなどが飛んでいきませんでしたか?いつもご迷惑をおかけしています」と話しかけ、会話のキッカケにする。

日々足を運んでいるうちに「お隣は何時くらいに仕事から帰宅するのか」「土日は家にいるのか」などが、次第にわかってくる。和田さんは会話ができるように、その人が在宅していそうな時間帯にさりげなく、現場に行く時間を調整する。

こうして近隣の人の心のハードルを下げ、世間話ができるような関係を築いていくのが和田さんのスタイルだ。無理に営業をしなくても、「うちも隣と同じ築年数なんだけど、そろそろ塗装を考えていたんだよ」という言葉を引き出すことができる。

▲今、外壁塗装で評判がいいのはマーブルトーン工法だ。サイディングを単色で塗装するのに比べて、立体感のある仕上がりになる。普段、塗装作業はしない和田さんだが、講習に参加してこの見本を作り上げた



ご近所の方から羨ましがられませんか?

和田さんはさらに「施主様からの情報も重要」と話す。施主との会話の中で和田さんはこんな質問をする。

「○○さんの家、キレイになってご近所の方から羨ましがられませんか?」。

すると「そうなんだよ。実はあそこの□□さんが、自分の家もそろそろ外壁塗装を考えていると言っていたよ」という情報を引き出せるからだ。

こうした情報を聞きだすためには、「人間関係」を作っておくことが大前提。「まず、施主様に喜多建設で工事をしてよかった、と思ってもらわなければいけません」と和田さん。

そのため、工事中は施主に対してのケアを怠らない。現場を訪れた時には「今日はここまで工事を進めます」と、進捗状況を報告する。

そして必ず「気になること、心配なことはありませんか?」と聞くようにしている。特に「イメージ通りの仕上がりになっていますか?」と突っ込んだ質問もするようにしている。ちょっとイメージとは違うと思っていても、施主はなかなか言い出せない。営業側からそうした質問をすることで、施主が不満を溜めないようにしている。



クレーム解消には職人と連携して

外壁塗装工事に対して、近隣の人が神経質になっている時は、さらに頻繁に現場に足を運ぶようにしている。

よくクレームになるのが、足場を組む時の「カンカン」という金属を叩く高い音だ。

他にも外壁の汚れを落とす高圧洗浄時の飛沫、それに工事車両の駐車場所も近隣からの苦情の対象になりやすい。そうしたクレームを防ぐため、和田さんは職人と連携を取り、適宜対策を講じている。

職人には施主とのコミュニケーションに加えて、近隣の人の様子も報告してもらっている。「毎日現場にいる職人さんの意見はとても貴重です。良い情報も寄せてくれます」と和田さん。時には「あの家の人、ずっと工事の様子を見ているから、塗装に興味があるかもしれないよ」というような、営業の足掛かりになる情報も提供してくれるという。

こうした努力の甲斐あって、先日工事が終わった時、施主から「和田さん、近所の方にすごい人気だったんですよ」と声をかけてもらったという。「半分、お世辞だとわかっていても、とても嬉しかったです」

▲身嗜みには気を遣っている和田さん。理髪店には2週間に一度程度行くようにして、頭髪を整えている。また作業着のサイズもジャストサイズのものを身に付け、ダボダボのズボンではなく、スリムなものを着用。「保険営業をしている時、第一印象で9割決まると教わりましたので、清潔感を保つようにしています」



顧客に「逃げ道」をつくることで逆に安心

和田さんの月の営業目標は500万円。目標達成までちょっと苦しい時、和田さんは無理に数字を達成しようとは考えない。焦る気持ちが相手に伝わって押し売りのような雰囲気になり、知らず知らずの間に圧力をかけてしまう可能性があるからだ。

「できれば、打ち合わせはご夫婦一緒に話を聞いてもらうのが望ましい。でも、焦って奥様だけと打ち合わせをしてしまい、ご主人から『俺は話を聞いていない』と、キャンセルになってしまったこともあります。見積もりを出せるところまで持っていくことが難しいので、1件1件と大事に向き合いたい。アポが取れなくても、焦らず来月に回すようにしています。そのサイクルができてくれば、目標は達成できるようになります」

顧客へ圧力をかけないようにするため、和田さんは「お客様には逃げ道を必ずつくっておきます」とも話す。たとえ見積もりを頼んでも、必ず喜多建設で工事をしなければいけない決まりはない。「断っても、僕の事は気にしないでくださいね」と、顧客に引け目を感じさせない言葉づかいをする。

逆に「この人は断りやすい」と思ってもらえた方が、押しの強い営業よりも相談のしやすさにつながり、すんなり契約が決まることが多いと和田さんは話す。



現場調査は屋根に登ってトラブル防止の事前確認も

現場調査には、和田さんと上司である部長の2人で行く。喜多建設では、徹底的に細かなところまで現場を調査するのがモットーだ。

ほとんどのケースで屋根の上に登り、どんな状態になっているか写真を撮影する。

他にも、エアコンの外付けのホースが劣化していないか、玄関タイルが欠けていないかなどを細かくチェックし、「外壁塗装と一緒に修理ができますが、どうですか?」と提案している。

フットワークの良いご主人なら、実際に梯子に登ってもらい、安全に配慮しながら屋根を見てもらうこともしている。「直接屋根を見てもらうのと、もらわないのとでは、全然印象が変わりますね」と和田さん。

それまでこちらからの説明に対してそっけない素振りだったご主人が、屋根を見た途端、修繕の必要性を実感。見積もりに納得してもらえることも多いという。

他にも、業者が屋根に登ったことでスレートを割られると思う人もおり、割れていないことを確かめる意味でも見てもらっている。

外壁のひびの場所も一緒に確認してもらう。また雨戸にできた凹みは、修繕前は目立たなくても、塗装すると目立って見えることがある。トラブル防止のためにはこうしたちょっとした事前確認が有効だ。



アナログの方が親身に思ってもらえる

現在IT機器を活用した営業活動をしているリフォーム会社は多い。

だが、和田さんは「自分はなるべくアナログ的な方法でやっています」と話す。現場調査で撮影した写真は一枚一枚プリントしてお客に届ける。その方が「喜多建設は親身になってくれる」と思ってもらえるという。

「現場近くの方々への営業も、元々の施主様に満足してもらえなかったら紹介してもらえません。今は現場周辺の営業スタイルが自分には合っていると思っていますが、現在、別の営業スタイルも模索中です。色々なお客様のニーズに合わせて営業方法を変えることができたら、もっと強みが増えると思っています」



リフォマガ2021年2月号掲載

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