内装などの色彩提案、素材の販売、オリジナルのペイントの開発から施工を行う「COAT」。色や質感にこだわったオリジナルペイントで、施主のライフスタイルに合った色彩提案を得意としている。代表でカラープランナーの小林明子さんに色提案で大切にしていることや空間づくりの魅力などを聞いた。
▲COAT(神奈川県鎌倉市)代表 カラープランナー 小林明子さん
福島県出身。大学卒業後、インテリア商社で働く。その後専門学校で建築やインテリアコーディネートを学ぶ。輸入ペイントを扱う会社などに勤務後、2015年にCOATを設立。カラープランナーとして活躍するとともにアロマのブレンダーとしても活動する。
顧客の色を引き出す
「COAT」では調色機で塗料をブレンドして好みの色をつくっていく。一滴の加減でまったく雰囲気が変わり、無限の色をつくることが可能だ。
カラープランナーの小林明子さんは、「色を無限に作れる環境にあるので、お客様にあった色を引き出してあげたい。私が色を決めると、その人の色ではなくなるので、できるだけお客さまに選んでいただく。どういう空間にしたいかを伺いながら、お客様が最終的に〝この色〞と決められるようなコミュニケーションをとりたいですね」と話す。手作業で作った140色掲載のカラーブックを共有して提案していく。
鎌倉に事務所を構えて5年が経つ。紹介された顧客のみだが、忙しい月は3、4件の案件を抱える。神戸や北海道、福岡と全国から引き合いがある。店舗内装も手掛けるが、最近は住宅リフォームが増加傾向だ。
「コロナ禍により家で過ごす時間が増え、自分の暮らしを考える人が多くなり、DIYに関する相談も増えています」
▲手作業でつくったカラーブックには140色が掲載。すべての色にストーリーがあり、名前が付けられている。
塗るという文化に触れて
その事務所&ショップ「COAT LAB」は、かわいい外観で、白い壁にモダンな柱が目を引く。ルナファーザーの〝No.741〞フリース壁紙を貼り、その上から自社開発製品のCOATオリジナルペイントを塗っている。壁紙はエンボスがないフラットなもので、質感のあるペイントや表現など自由度が広がる。また藤沢にある小林さんの自宅は、賃貸だが、簡単にはがせる壁紙を貼ってペイントし、部屋をおしゃれに彩っている。シールのようにペロっときれいに剥がれる壁紙なので賃貸住宅に向く。
小林さんが色や空間づくりに惹かれたきっかけは、学生時代の海外旅行だった。「オーストラリアやアジアに旅行したとき〝自分で家を塗る〞という文化に触れ、それまでそんなことを考えたことがなかったので衝撃でした。海外の人は家に愛着を持ち、暮らしを大切にしていていいなと感じました」
「日本では、自分の家のメンテナンスは業者にお任せするケースが多い。古くなっても自ら工夫しながら補修ができれば、もっと家に愛着を持てるような暮らしができるのでは。そんな素材の提案がしたいと考えるようになりました」
▲事務所&ショップ「COAT LAB」で。COATオリジナルペイントで塗った柱がひときわ目立つ。
色は心を明るくする力も
カラープランナーになって強く印象に残っている顧客がいる。ある会社の社長を引退した人だった。ようやく家にいる時間ができたので、家族への感謝も込めて家のリフォームをしたいということで、神戸の自宅に伺った。
「ライフスタイルや要望をお聞きしながら、〝色には心を明るくする力がある〞ということを話してくれました。第二の人生を家族でスタートすると決められたお客様が、色と質感だけのリフォームで、とても輝いた笑顔で喜んでくれたのを今でも忘れません」
家を作ることは、今ある文化を反映し未来に受け継ぐ役割もあると考える。「住まい手に寄り添った空間づくりは、作り手からも愛され、手を加えながら長く継承していくことが魅力」と感じている。小林さんは、そんな空間づくりのお手伝いが出来ればと日々の仕事に向き合う。
「今はそれぞれ自分の暮らしを見直していく時期だと思います。どういう暮らしが豊かなのか、一緒に考えていきたいですね」
▲施工例1
赤にこだわった洗面所。クライアントの要望の赤を色と質感で作り出した。深みのある鮮やかだけど、上品な赤。
▲施工例2
子供部屋。アーティストの方とコラボレーションした部屋。色を2トーンにしそこにコラージュを加えてもらった。
リフォマガ2020年11月号掲載
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