KURASHIをたのしむVol.9 こまめな観察とコミュニケーションで植物との暮らしを楽しむ

コロナ禍で在宅時間が増え、心に安らぎをもたらす緑のある暮らしが再認識された。切り花、鉢花、お庭など植物に関わるあらゆるジャンルで活躍のさとうゆみこさんに、植物とともに暮らす魅力や暮らしに取り入れるコツを聞いた。

▲フラワー&グリーンスタイリスト さとうゆみこさん

福岡県出身。建設会社のOLから転職し、フラワーショップやインテリアショップで働く。現在はフリーランスで活躍。切り花、鉢花、ガーデニングなどグリーンを使った暮らしの提案、企業のコンサルティングなど植物にまつわる仕事を行う。ワークショップでフラワーレッスンを行うほか、定期的に自宅でも開催。2児の母。



植物への謙虚さが心地よい

思うように外出できなかった2020年の春。せめて家の中で花や緑を感じられたらと思う人も多かったのではないだろうか。学校行事などが中止になり花業界は大きな打撃を受けたが、個人的な花の消費は伸びた。

〝植物のなんでも屋〞というさとうゆみこさんは、「〝植物っていいな〞って再認識された機会だったと思います。みんなの中に植物の大切さっていうものがあるんだと実感しました。食べ物を始め衣類など、私たちの生活を取り巻くものの多くは植物で出来ていて、人は植物を育てたり、飾ったりと植物をコントロールして生きていますが、実は植物や自然のものはかなわないもの、とコロナ禍で改めて感じました」と話す。

高校時代、庭の広い環境からマンションへ引っ越すことになった。それまで特に植物に関心がなかったが、当たり前にあった緑がなくなって〝緑のない暮らしが不自然〞と気づく。植物を買ってきたり、植物に関する本を読んだりして植物に興味がわいてきたという。近くのフラワーアレンジメント教室にも通った。

「植物と身近に暮らす良さは、私自身が植物や自然のものに対して謙虚になれること。そのことが、自分自身の中でいいなと思うし、そう思って暮らすことが心地よいですね。植物の癒しという言葉に謙虚さがつながってくるのかなと思います」

▲フラワーレッスンのようす。



表情のある植物から始めよう

「植物を育てるのに大切なのは、観察すること。コミュニケーションをとることですね。植物はしゃべってくれませんが、成長で応えてくれる。水やりが必要ない日でも、〝葉っぱは元気かな〞と見てあげたり、明るい場所に移したり、たまには水でシャワーをかけてほこりをとったり、こまめに観察して楽しんでほしい」とさとうさんは話す。

始めてだからと言って、小さいものとか、水やりの少ないエアプランツから取り掛からない方がいいという。ミニ観葉植物は水をためておく量が少なく、水がなくなるのが早いため、5号鉢くらいの大きさが育てやすい。

「まずサボテンを買って育てる方が多いですが、サボテンは表情があまり見えない植物なので、つい水やりを忘れて、カリカリになってしまったということに。サボテンは意外に難しいですよ。最初は表情のある植物、例えば水が足りなければうなだれてしまったり、葉っぱが落ちてきたりするような植物(多肉植物以外)をおすすめします」

▲手前にある大きいものはタマシダ、つり下がっているものはリプサリスやホヤ。リビングに面したベランダやその向こうのフェンスは、引っ越してきて取り付けた。野鳥もたくさん来るそう。



暮らしを彩るインテリアにも

狛江市の自宅は、リビングに面したベランダに落葉樹を植えて冬は暖かく、夏は涼しい。部屋には観葉植物、切り花、つるしたものなど、さまざまな植物が彩られている。

「ベランダに小さいものをたくさん置くと、ごちゃごちゃしたり可愛い感じになりすぎるので、大きめのプランターに1種類のグリーンを植えたり、草花も一緒に植え込んだりと、大きめのプランターをドーンと置いた方がかっこよくインテリア的におすすめです。またつるした植物は目線が上がって、背の高い観葉植物と同じようなビジュアル効果があります」とさとうさん。

自宅で定期的にフラワーレッスンを開く。飛行機や新幹線で遠くから駆けつける人やリピーターも多い。「お庭のレッスンでハーブを植えて、料理をするようになった」、「通勤途中で〝この花はなんだろう〞と季節の花に敏感になった」など生徒さんの喜ぶ声を聞く。「切り花、ガーデニングと垣根をつくらず、植物のある暮らしを楽しむ人が増えていったら、嬉しいですね」

▲つるしたものや鉢植えで窓辺が彩られている。

▲裏庭に行く細い通路。足元は半日陰でも育つ植物を植えている。


リフォマガ2020年9月号掲載



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