早めの塗り替えで劣化を防ぐ窯業系サイディング

外壁材として最も多く使用されている窯業系サイディング。特徴やメンテナンスの方法を押さえておこう。


窯業系サイディング ポイントはこれ!


◆燃えにくく施工しやすい外壁材

窯業系サイディングは、モルタルと同程度の防火性能がありながら、重量はモルタルの半分程度。左官が必要ないため施工が簡単で、費用も抑えられることから普及が進み、現在では住宅の約8割で採用されている。


◆塗膜で防水性を維持

表面の塗膜が劣化すると水が浸入し、夏の暑さや冬の凍結による膨張・収縮で変形やひび割れなどが発生する。これを避けるために10年を目安に塗装を行う。色あせや剥がれが発生している場合は早めの塗り替えを検討する。


◆シーリングの劣化を放置しない

塗膜よりも早く劣化するのが目地(シーリング)部分だ。目地が劣化すると内部の腐食や雨漏りの原因となるため、数年ごとに点検・補修を行い、10年を目安に打ち替える。


◆塗り替えが不要な商品も登場

近年では塗り替えが不要な商品も登場している。また、シーリングを使用せずに施工できるタイプや、耐久性の高いシーリング材もある。



窯業系サイディングのメリット・デメリット

メリット

●色柄が豊富石、レンガ、タイル、木目、コンクリート、塗り壁など様々なデザインがある。

●火災に強い耐火等級のうち、最も高い「耐火4等級」(60分以上火や熱に耐える)や「耐火3等級」(45分以上火や熱に耐える)の製品が多い。万が一の火災の際には延焼を防止し、近所からのもらい火も防ぎやすい。

●軽いモルタルの半分程度。地震時の揺れが少なく、建物への負担が少ない。


デメリット

●水を吸収しやすい主原料であるセメントは水を吸収しやすい性質がある。➡サイディングが水を吸収すると劣化が急速に進むため、塗膜が劣化する前に塗り替えを行う。

●目地が劣化しやすい継ぎ目に使用されるシーリング材が劣化しやすい。➡シーリングの痩せやヒビから雨水が侵入し、建物の内部を傷めるため、定期的な点検・補修が必要。

●熱をため込みやすい主原料であるセメントは熱をため込みやすい性質がある。➡夏の暑さが気になる場合は、塗装の際に遮熱塗料を選ぶとよい。



【提案のポイント】

トーシンリフォーム(神奈川県相模原市)田中 徹正代表

コーキングの選定にこだわり

外壁がサイディングの場合、塗装の際に必ず必要となってくるのがコーキング工事です。お施主様は塗料のグレードには敏感ですが、コーキングの種類には無頓着なことが多いように感じます。しかし、建物の防水面という意味においては塗料よりもコーキングの方が重要ですので、高耐久のコーキングでの施工を提案することは他社との差別化にもつながりますのでおすすめです。価格を抑えるために、既存のコーキングを撤去せずに行う増し打ちや、撤去後に底面に絶縁テープを張らずに行う3面接着施工は後々の不具合につながる可能性が高いので避けるべきです。

またサイディングには数多くの種類があります。その中で一点気を付けなければならないのが、光触媒コーティングをされたサイディングです。光触媒サイディングに着色塗り潰し塗装をする場合には、専用の下塗り材を用いることで塗装が可能ですが、サイディングの風合いを生かすクリアー塗装は基本的に不可とされています。

クリアー塗膜では、紫外線が透過して塗膜の内側で光触媒による塗膜の分解が起こってしまいますので、光触媒のサイディングの現場があった場合には、気をつけるようにしましょう。



窯業系サイディングの商品例



クリアー塗装は色あせする前に

窯業系サイディングの塗り替えは、有色塗料による単色仕上げが一般的。しかし、多色使いのサイディングの場合、単色仕上げでは既存の色や模様は塗りつぶされてしまう。元の風合いを生かすにはクリアー塗装がおすすめだ。無色透明な塗装剤でコーティングするため、元の色や模様が鮮やかによみがえる。ただし、色落ちや劣化が進んでしまってからではクリアー塗装は行えなくなる。10年以内を目安に、色落ちする前の早めの塗装を心がけよう。

写真提供/ニチハ

 

 

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