一級建築士事務所スマイリズム堀野和人さんのコラム。今回は、3LDK、延床面積 100㎡、南接道の間取りで、キッチンは壁向けに設置した独立タイプ、通風や採光に配慮され、南北に広々と配置されたリビングダイニングが印象的なプランです。完成度が高く、人気を博しそうな間取りですが、あえてチェックしてみます。
今回チェックする図面はコレ!
NG①入浴後に玄関ホールを 横断する動線でいいのか
玄関ホールにトイレ、洗面があるのは便利である。 視線への配慮もなされているが、半間の物入れがあるため、玄関ホールの幅が狭くなっている。入浴後にホール、リビングを通って寝室に向かう動線も検討が必要。
NG②玄関やホールの形状が凸凹で美しく見えない
玄関、ホールの平面形状に凸凹があって、美しく見えないのではないか?開き戸、折戸が玄関からの視線に入るのも気になるところ。シューズクロークはオープンでよいのか?玄関の奥行は広すぎないかなど検討も必要。
NG③もう少し家事動線に 配慮を持ちたい
キッチンから洗面室(洗濯機)までの動線が長くて複雑である。また、物干し場所を2階のバルコニーとし た場合、洗濯後の動線も長い。家事動線が全てに優先される訳ではないが、もう少し配慮が必要だ。
NG④収納スペースの計画がない洗面室
洗面室内に収納スペースがない。この場合は階段下収納を洗面室側から利用するとよい。玄関ホール正面に見える扉は美しくないので、それを無くすことで玄関がすっきりとする。演出スペースもできる。
NG⑤リビングは外からの 視線に配慮が必要
門柱、アプローチの正面にリビングの掃き出し窓が ある。来客の動線上にあたるので、覗かれているように感じる。リビングはくつろぎの空間であるので、 カーテンを閉めたままにならないように、外からの視線に配慮が必要。
NG⑥階段の踏面の基本は 単純な形状がよい
階段昇り部(1段目)の踏面がなぜか三角形になっているため、内周部の踏面幅が狭く、危険である。基本階段の踏面は単純な形状がよい。特に意図がないのであれば、正方形の踏面にした方が踏み外しの危険性が少ない。
NG⑦WICの収納効率が悪くないか?
幅1間のWICは、扉の位置と幅を工夫すれば、両側に物を置いたり、掛けるスペースができて使いやすくなる。現状のままでは、扉の奥側に物が置けないので効率が悪い。
NG⑧大きなバルコニーは 一部を屋根付きに
大型バルコニーは物干しだけでなく、多用途に使えるのでよいが、一部を屋根付き(ロッジア)バルコニーにしておくと、急な雨降りでも洗濯物が濡れにくい。全員が廊下から出入りできるバルコニーの配置はよいが、子ども室一室だけがバルコニーに出られ、他の部屋には不公平感が残る。
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