これで差がつく!見積書の極意~信頼される見積もりを作るには「内容を噛み砕き、不明瞭さをなくす!」

見積書=金額がわかるだけじゃない!

顧客が契約するかどうかの、大きな判断材料になる見積書。素人が見てもわかりやすく、必要事項の抜けがない資料に仕上げるのは難しい。

限られた時間で、精度の高い見積書をつくる達人5名は、どんな工夫をしているのか。実際の見積書をもとに、①準備、②見積書作成、③見積書提出の3つのSTEPで鍵になるポイントを聞いた。



《STEP2 作成》
信頼される見積もりを作るには「内容を噛み砕き、不明瞭さをなくす!」

誰がみてもわかる
言葉選びに注意

見積書は、顧客が見て理解できるものになっていなければならない。そのため、各社ともに書き方や構成を工夫している。

ナサホームでは、項目は手入力している。その際気をつけるのが使う言葉だ。CF→クッションフロア、FR→フローリング、と略語や専門用語を使わないのがルール。

「気を抜くとつい、専門用語を使いがち。伝わる言葉になっているか確認します」(守行さん)



やらない部分も明記
工事内容が一目瞭然

モリシタ・アット・リフォームの佐伯さん、オリバーの道順さん、ナサホームの守行さんの見積書は、補足説明が充実している。

商品価格と工事費はなるべく分けて記入し、どこに何の工事が必要なのかを明示する。

また、やる工事だけでなく、やらない工事も明確化。例えば、クローゼットの内部は既存、タイルは再利用と、手を加えない箇所まで書き出す。

守行さんは、「不明瞭な部分が残っていると、後からお客様に『ここもやると思っていた』と言われてしまいかねません。口頭だけでなく、見積書にも残して、互いに不安がないようにします」と話す。

佐伯さんも、金額の発生しない打ち合わせメモまで見積書に残す。

「これまでに、どんなやりとりがあったかも把握できます。見積書がそのまま工事指示書、発注書とスライドして使えるようになります」(佐伯さん)



【ナサホーム 守行さんの場合】現調の時に必要な工事内容を見極め図面に記録する

  • 現場調査段階で、見積書作成を想定した工程メモを取る
  • クロスを貼る場所ごとに分けたり、FR→フローリングと表記したり、専門用語をわかりやすく記載する



【駒商 駒走社長の場合】原価をみせてクリーンな印象に

  • 原価+3割の粗利を明確に分けて記載する
  • 粗利3割を下回る値引きをしないことで、利益をキープする

見積もりの透明化を推進するのは駒商の駒走社長だ。使用する建材、設備の原価を明記することで、顧客の信頼を得ている。

設備や材料の仕入れ値を明記し、必要粗利3割、予備費として5%を乗せた額を売価として記載する。値引きの際は粗利から引く。

「利益がないと我々も工事ができませんよね」と3割の必要性も説明します。金額重視の方はそもそも弊社では合わないので、早めにミスマッチを防げますし、無理な値引き交渉が減ります」

結果、値引きがあっても粗利3割を切ることはなく、粗利確保にもつながる。不透明な価格が見えて、顧客も安心できるという。

起業前は、左官や設備業で働いていた駒走社長。

「『前の現場でミスしたから、次の現場で粗利を取り戻そう』というやり方が多かったです。お客様によって損得があるのはおかしいですよね」



【ライフプラン 武井さんの場合】一式表記で想定外に対処テンプレートで時短

  • 商品ごとのテンプレート見積もりを使って時短に
  • 一式表記で予想外の事態にも対処できる幅をもたせる

ライフプランの武井さんは、見積もりソフト「みつも郎」(コベック)を使用。過去の見積もりを参照しながら作れるのでスムーズだ。

また、商品ごとにテンプレートを作っており、複合工事の場合は、テンプレートに足りない部分を足す手法で時短を図る。

商品別でいくつか見積もりを作っていき、松竹梅の3パターンのプランを提示する。

見積もりは一式表記が多い。「配管何メートルかなど厳密に作る会社もあります。でも、3メートルと見積もりに書いたのに実際工事してみたら4メートルだった場合は困りますよね」と武井さん。一式と書いている場合、予想外のことを吸収しやすいメリットがある。



【オリバー 道順さんの場合】施主の気付かぬところまで『おせっかい』でカバー

  • 予定していなくても、必要だと思った工事内容まで含めて見積もりをつくる
  • 発注書として使える情報量を入れ込む

オリバーの道順さんは、顧客が希望していなくても必要だと思った工事を足した『おせっかい見積もり』をつくる。特に外装など、複数回の工事になると足場代が嵩むケースでは、付帯工事の提案を忘れない。

「金額だけでは高く見えますが、必要なければ削ればいいので。それよりも、後から言われても…という後悔をなくしたいんです。『あの時言ってくれてよかった』と喜んでくれるお客様に、損がないようにしたいです」(道順さん)



【モリシタ・アット・リフォーム 佐伯さんの場合】やらない部分まで記録に残して工事内容を明確にする

  • やらない工事内容も明確に示す
  • 既存を利用するのか、新規なのか、わかるように区別する



見積書作成の達人5名に聞きました

ナサホーム(本社・大阪府大阪市)千里中央店 店長 守行一晃さん

大学では建築学科で学び、2013年にナサホームへ入社。営業10年目。2017年からは3年連続で、同社全社員内での顧客満足度1位を獲得した。


ライフプラン(栃木県小山市)専務 武井正浩さん

住宅設備流通の営業を経て、2010年にライフプランに入社。リフォーム営業歴12年。2019年からは親会社のヒタチ設備の社長も兼務。


オリバー(本社・富山県富山市)oliverリフォーム高岡店 主任 道順雷さん

高校時代からの自分の家を建てたいという夢と、営業をしたいという希望を叶えられると思い、オリバーに新卒入社。営業歴5年目。設備交換から外装、増改築まで幅広く担当する。


モリシタ・アット・リフォーム(兵庫県姫路市)リノベーション事業部 部長兼店長 佐伯直紀さん

入社20年目で店長も務めるプレイングマネジャー。2019年からは大規模リノベーションをメインに担当。今年1~8月までの平均単価は400万円。


駒商(兵庫県宝塚市)社長 駒走宜久さん

設備会社や左官会社の手伝いを経て、リフォーム会社の駒商を起業し17年目。今年6月までは営業も兼任していた。現在は経営に専念し、人員充実に注力する。



リフォマガ2022年12月号掲載



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