今回登場するのは、ライフデザイン・カバヤの営業・栗正裕基さん。同社トップクラスの営業成績を誇るエース営業マンだ。
▲ライフデザイン・カバヤ(岡山県岡山市)リフォーム事業部 営業課課長 栗正裕基さん(36)
岡山県出身。建物に興味があり、工業高校の建築科で学ぶ。他社で施工管理の仕事を経験した後、2013年にライフデザイン・カバヤに入社。入社後半年で、施工管理から営業職へ。2022年4月にリフォーム事業部の課長に昇進した。
施工管理からスゴ腕営業に
「現場を熟知」が強みに
2022年に創立50周年を迎えたライフデザイン・カバヤ。これまで1万7000件もの新築案件を手がけている岡山県のトップビルダーだ。同社のリフォーム事業部の栗正裕基さんは、2021年度に売上1億6000万円を達成したスゴ腕営業マン。栗正さん自身は「お客様からのご要望があって、対応していたらその数字になっていたという印象です」と謙遜する。
元々は現場監督として施工管理をしていた。営業職になったのは、9年前に同社に入社してからだ。
「現場監督は、決められたプランを現場で形にしていくのが仕事。それに対して、お客様から要望を聞いて、より良いものを提案するのが営業です。要望を汲み取って形にしていくことは、営業として面白いところでもあり、大変なところでもあると感じています」
技術畑出身で現場をよく知っていることも、栗正さんの強みになっている。
ワンランク上の提案で、受注金額を上げる
栗正さんが1億6000万円もの実績を出すことができたのは、顧客から言われたまま見積もりを出すのではなく、ワンランク・ツーランク上の提案をしていることがポイントだ。顧客満足度を高めながら、受注金額を上げることに成功している。
「お客様が採用するか、しないかにかかわらず、『こんなこともできますよ』という、斬新なプランを提案するようにしています」と栗正さん。
例えば、キッチンリフォームでは対面型のキッチンを提案することが多いが、スペースが取れるのであればアイランドキッチンも提案する。常に顧客が「え?こんなこともできるの?」と思うリフォーム提案で、顧客の心を掴んでいる。
「価格よりもプランを重視しているお客様は多いです。お客様によってリフォームに対する想いは違うので、いくつか違うパターンを用意するようにしています」と、栗正さんは話す。
顧客のリフォーム熱が冷めないうちに
提案栗正さんの売上目標を達成するためのポイントは、顧客との打ち合わせから見積もりを出すまでの「速さ」にある。
「プランを速く考えるには、自分の中に知識を入れておくことが大事です。見積もりを依頼されてから、どんなプランにしようか、資料を探していたら、時間が掛かってしまいます」と栗正さん。
打ち合わせから見積もり提出まで、遅くとも約1週間以内。大型案件でも2週間以内にプランを顧客に届けている。
顧客のリフォーム熱が高まっているうちに提案することで、契約に結びついていると感じている。
速く、斬新な提案ができるよう、栗正さんが心がけているのは「情報を収集する」こと。住宅設備メーカーのショールームに行ったり、デザイン系の雑誌を購入したりと、もっといい提案ができるように、常にアンテナを張っている。
知識を蓄えていることで、短期間でプランを練り上げることを可能にしている。
新築部門からのスムーズな連携
ライフデザイン・カバヤの年間着工棟数は約1200棟。そうした新築オーナーからのリフォーム依頼は、リフォーム全体の約9割を占める。
同社では新築から10年後に無料点検を行なっている。さらに5年後を想定して水廻りや外壁塗装の見積もりをアフターサービスの部門が事前に渡している。
その時は必要性を感じなくても、いざというときに「そういえば、見積もりがあった」と記憶にとどめてもらうことが狙いだ。
さらに同社には、新築棟数が多いというスケールメリットを活かし、設備を安く仕入れられる強みがある。他社と同等の設備でも、見積もり金額を安く抑えられる。
新築営業からリフォームの営業へのスムーズな引き継ぎや、新築棟数の多さもリフォームの受注を後押ししている。
リフォーム営業は全員オールラウンダー
同社のリフォーム事業部の営業はオールラウンダー。外壁塗装、間取り変更、水廻りなど、どんなリフォームでも、1人の営業が担当する。
顧客の多様なリクエストにも、同じ営業が担当するので、話が早い。2回目、3回目のリフォーム工事を依頼する施主も多い。
「以前からコミュニケーションが取れているので、お客様にとっても、一から説明を受けなくてもいい。スムーズな商談は弊社にとってもメリットあることだと思います」と栗正さん。
とはいえ、新築オーナーでも、相見積もりを取ることもある。栗正さんは普段、相見積もりについては意識をしないと話す。
「自分のできることを100パーセントするように心がけています。それで契約が取れなかったら、お客様の気持ちを汲みきれていなかったと反省します」
プラン、予算、工期など顧客の一つ一つの要望を聞き出し、リフォームの計画が立てられていたのかを振り返っている。
顧客からのヒアリングを流れ作業にしない
リフォーム会社にとっては、多くの案件の一つであっても、顧客にとってのリフォームは一生に一度かもしれない大きな買い物。ヒアリングが流れ作業にならないよう、顧客がリフォームに望むストーリーを大切にするのが、同社の社風だ。
「リフォームするには必ず理由があると思っています。その目的が何なのか、明確に理解できるようヒアリングを行うことを心がけています。目的を知ることで、より良いご提案ができると考えます」
会社全体としても、新築の引き渡し後でも、顧客の困りごとに対応できる体制を強化していきたい考えだ。
人と人とのつながりをこれからも大切に
リフォーム事業部は現在22名。栗正さんは部下も抱えている。
常時10件ほどの案件を担当している栗正さん。小規模のリフォームでは、現場監督として、現場に立つこともある。
「現場に行くと、『やっぱり現場は楽しい』と思うこともあります。しかし、営業とは違う、現場の大変さもあります。今後も、ひとつひとつのお仕事を丁寧に、人とのつながりを大切にしたい。仕事上のつながりとしてだけでなく、人としてつながれるようになりたいです」
▲栗正さんが手がけたリフォーム例。築65年の家は、大工だった施主の祖父が建てたもの。思い入れのある家だったため建て替えではなく、リフォームを選択した。
以前、リフォームを頼んだ他社との契約がほぼ決定していたが、ライフデザイン・カバヤに相見積もりを依頼。栗正さんが担当したところ、施主の予想以上の提案と栗正さんの人柄の良さに、施主が満足し契約が決まった。「柱や梁はとても質の高いものだったので、既存の梁はあらわしにし、お客様の想いをカタチにしました」
▲穏やかな口調の栗正さん。時には顧客の趣味の話も交えながら、要望を聞き出していく
▲栗正さんの愛用品は名刺入れと、ドイツのブランド・ラミーのボールペン。ボールペンは妻からのプレゼント。「書きやすく、これで顧客の宛名を書いたりすると、気持ちが入ります」
リフォマガ2023年4月号掲載
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