今回登場するのは、朗らかな笑顔が印象的なリフォーム営業の筒井萌恵加さん。「取ってきて終わりではない営業がしたい」と話し、顧客の立場に寄り添う接客を心がける。
▲レオック(愛知県豊橋市)田原かや町店 リフォーム事業部 ホームアドバイザー(営業設計) 筒井萌恵加さん(28)
自分で考え、提案し、つくり上げるリフォーム営業職に惹かれて、レオックに新卒入社。入社6年目。設計コンテストに積極的に参加し、受賞歴多数。
自分で考えつくり上げたい
コンテストにも積極参加
愛知県豊橋市に本社を構えるレオックは、リフォームから新築まで地域に密着した事業展開をしている。
筒井さんの担当する田原市エリアは大型工事が多く、筒井さんも常時約20件の案件を同時進行している。間取り変更や耐震など、工事規模によっては設計担当がつくことがあるが、なるべく自分で設計まで手がけるという筒井さん。
「ものを売る営業ではなく、お客様と話し、自分で考えてつくりあげるところまで携われる仕事がしたいんです」
筒井さんは、さまざまなコンテストに積極的に参加している。タカラスタンダード主催「家事らくリフォーム作品コンテスト2022」キッチン&リビング地区最優秀賞、リフォーム産業新聞社主催「プチリフォームコンテスト」入賞など、受賞歴も多数。自分に任せてくれた施主への感謝の思いで、コンテストに臨むという。
「コンテスト参加時のプレゼンシートは、入賞したらお客様にも渡しています。工事の思い出アルバムのようなものなので『形に残る』とお客様にも喜んでいただけます」
打合せ、工事の記録は、他の顧客の検討材料にもなる。実際に、同じような悩みをもつ施主に、施工事例として提示することもよくあるという。
施主の考えは否定せず受け止めてから意見する
筒井さんが商談で気をつけているのが、相手の考えを否定せず、まず受け止めることだ。そのうえで、イエスマンにならず、自分の意見をはっきり述べる。
夫婦2人暮らしの住まいで、脱衣所の引き戸の取り替え工事でのこと。旦那さんは「廊下を暗くしたくない」と、採光を重視し、全面すりガラスを希望。一方奥さんは、シルエットが映ることに抵抗を感じていた。
筒井さんは「確かに、明かり取りがあるのはいいですね!でも、全面だと女性としては少し恥ずかしくて、避けて着替えるようになるかも」と、否定はせず、一般的な意見として伝えた。
最終的に、引き戸は真ん中にスリットがあり採光できるものを提案。さらに、廊下のクロスを明るいものに張り替えるプランで採用された。廊下にも光が差し込み、夫婦ともに納得のいくプランとなった。
自分も家族のつもりでどう暮らすかをイメージ
顧客から言われていないことも、必要だと感じたら提案に含める。
「ご相談にくるお客様は、どんな風にリフォームしたいか迷っている方がほとんどです。私が決めてしまうのではなく、自分も家族の一員になったつもりで、どうしたら暮らしやすくなるか、を考えます」
中古戸建を購入後、リフォーム依頼をしてきた40代男性。一人暮らしだから、最低限水まわりだけきれいにしたい、という内容だった。
現調に訪れた時、筒井さんが気になったのは、希望にはなかった玄関横の6畳の和室。畳はぼろぼろの状態だった。
その後ヒアリングをしてわかったことは、趣味はバイクやキャンプ、そして寝室は2階にする予定ということ。
そこで、筒井さんは水まわりのほか、畳をフローリングにするプランを提案した。
「趣味を聞くと荷物が多そうだなと思って。きっと和室は物置になるだろうから、それなら動かしやすいフローリングに変えたほうが良いと思いました」と筒井さん。
見積もりでは参考価格として算出し、「お任せしますし、変えるのは今じゃなくてもいいと思いますよ」と添えた。競合は水まわりに限定した筒井さんより安いプランで提案するなか、その顧客は筒井さんのプランをその場で採用した。
今でも定期訪問すると、たくさんの荷物が仕舞われており、「やってよかったよ」と言ってもらえるのだそう。
金額よりも内容を印象付ける
見積書を見せるタイミング
初回見積もり提出の場では、金額を見せるタイミングを後にしている。
「お客様は金額を気にされていますが、だからこそはじめに見積書を見せると、金額だけに意識を持っていかれがちです。その前にいかに『この内容でやりたい』と思わせられるかが大事です」
筒井さんは「最初に今回の工事内容をおさらいしましょう」と前置きする。図面を広げながら、どんな要望だったか、どうしてこうなったか、と内容を施主と見直していく。
一通り納得してもらえたあとではじめて、ではこの内容だとこの金額です、と金額を提示するのだ。
こうすると、ただ高いという理由で断られる可能性が下がる。提案内容が同じであっても、話し方の順番で施主の受け止め方に大きく差が出るからだ。
近隣エリアの施工事例地域密着が響く
「こういう時、どうするのがいいですか」と意見を求められた時、筒井さんが提供するのは近隣の事例だ。「1年前に〇〇町でやった現場なんですけど、そこでは〜」と事例写真を添えて具体的に話す。
「田原市の方は地域柄、地元を大切にしている方が多いです。だからこそ、地元での事例に共感してもらえます。同じ地域の人が選んでいるレオックなら安心、と思っていただけています」
WEBで探せば、全国の事例が見つかるが、特に高齢世代だと、あまり遠い場所の事例だと「うちの地域とは違うから」と思われて、参考にしてもらいにくい。
一方でSNSに慣れ親しんだ世代だと、地域に関わらず仕上がりの参考にしてくれるため、インスタグラムなども併用する。相手に合わせてアプローチの仕方を変えることで、より共感を得やすくなる。
こうした相手の立場に寄り添った姿勢が、信頼される理由のひとつであり、筒井さんの強みだ。
▲筒井さん愛用のアイテム。バインダー、スケール、フリクションペン。赤いバインダーは、入社時にリクルーターを務めてくれた憧れの先輩が、退社するときにくれたもの。A3サイズで現調時に使いやすく、「頑張ろう」という気持ちにもさせてくれる
▲冬の愛用アイテム。ヒーター内蔵の電熱服は、寒い時期の現場管理時には欠かせない
コンテスト入賞多数
タカラスタンダード主催「家事らくリフォーム作品コンテスト2022」キッチン&リビング地区最優秀賞を受賞した作品。「グレーのキッチンで、カフェ風が良い」という40代のご夫婦。旦那さん希望のタイルは、調和をとりつつも暗くなりすぎないようグレージュをセレクト。
照明は黒いレールがアクセント、温白色のスポットライトでカフェ風を演出。シンク上のダウンライトだけを、調理しやすいようにあえて昼白色に変え、おしゃれさと使いやすさを両立させた。
畳をフローリングへ
いたみのあった畳はフローリングに貼り替え、押し入れと床の間はクローゼットに変えた。荷物の出し入れがしやすくなった。
リフォマガ2023年3月号掲載
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