今月の輝く!リフォームセールス~「素直でいること」が顧客の信頼獲得と自分の成長につながる

今回登場するのは、キタセツの営業・浅野隆児さん。入社2年目ながら、すでにリピーターも増やしている期待の新人だ。

▲キタセツ(東京都大田区)営業本部 内装担当 浅野隆児さん(22)

神奈川県相模原市出身。子どもの頃大好きだったリフォームのTV番組がきっかけで、リフォームに興味を持つ。高校卒業後に建築デザインの専門学校に進学。インテリアデザインを学ぶ。新卒でキタセツに入社。現在、内装担当の営業として業務を行っている。



営業で大切にしているのは良い第一印象

東京の大田区・品川区を中心とした地域密着型のリフォーム会社として知られているキタセツ。浅野隆児さんは2021年4月に入社した2年目の新人営業だ。

浅野さんが営業をする上で大切にしているのは、第一印象で悪い印象を持たれないようにすることだ。

「第一印象で、悪い印象を持たれてしまうと、その後挽回するのはとても難しいと感じています。お客様はこちらが思っている以上に細かいところまで見ているので、喋り方や態度はとても気を付けています」

浅野さんに限らず、キタセツでは顧客宅に訪問した際、使い捨てのスリッパを履いてから室内に上がるルールがある。また、カバンは直に置かず、持参した敷物の上に置く。他にも浅野さんは「顧客の目を見て話す」「顧客の話を否定する言葉は言わない」などを心がけている。

そうした細かな配慮が、顧客から「キタセツにリフォームを依頼したい」という思われる大事なポイントになっている。

▲浅野さんが手がけたキッチンの交換の工事(下台、吊り戸、レンジフード、キッチンパネル)お客からの要望で、L字カウンターや、側面にニッチ収納を設置した(下写真)



失敗しても素直でいることが大事

入社して1年目は色々な失敗をしたと言う浅野さん。そんな時「素直でいること」の大事さを痛感したと話す。

「ミスをしてしまった時は言い訳をせずに、誠心誠意謝るようにしています。お客様には可能な限り、対面で謝罪をします。言い訳をしても、お客様の不信感を募らせるだけですし、自分の首も締めてしまいます」

社内でも、わからないことは先輩や上司に、素直に相談する。早くに上司に相談していれば解決できることも、変に自分のプライドを持っていることで時間が経って、解決が難しくなってしまうからだ。

浅野さんは入社間もない頃、トイレの増設工事を担当した。トイレのドアの建具や枠も交換することになり、工事を行ったところ、顧客から「他の部屋と建具の枠の色が違う」とクレームが入った。他の部屋は白い枠で、浅野さんが発注したのはドアと同じ茶色。「何も言わなくても、他の枠を見て、揃えてくれると思っていた」と顧客から言われてしまった。

この顧客からはクロスの貼り替えや玄関収納の工事も依頼されていた。浅野さんはまず電話で謝罪をし、その後上司と一緒に顧客宅で謝罪。真摯な態度に顧客も納得してくれ、無事完工を迎えることができた。



曖昧なままにしない
念入りな再確認を徹底

こうした新人時代の経験から、曖昧な事柄は再確認を徹底している浅野さん。図面、仕様書、品番など漏れがないかチェックし、「?」と思ったことは顧客に連絡を入れている。

「念のため、メールや電話で『こういったお話だったと思うのですが、いかがでしょうか』と聞くようにしています。議事録を作ってお客様に提出していますが、自分とお客様で、違う受け取り方をしていることもあるため、再確認が必須です」

浅野さんがミスをした時、上司から頭ごなしに怒られることはなかった。上司は「これも経験だから、次は気を付けるように」とフォローに徹してくれた。

「僕はネガティブに考えがちな性格。叱責されるとシュンとしてしまうこともわかった上で、指導してくれたのがとてもありがたかったです」

▲商談をする浅野さん。会社のショールームには大きなモニターがあり、そこで施工事例などを映しながら、説明することもある



メモと写真は多めが基本
OKなら顧客の写真も

浅野さんが現場調査で気を付けていることは「メモ」と「写真」は必要以上に取(撮)ることだ。打ち合わせ時は、話した内容を忘れないようにしっかりメモを取り、いつでも思い出せるようにしている。写真はアングルを変えて複数枚撮影する。キッチンなら正面から、左右から、給排水のアップなど。余分だと思っても多めに撮影しておくと、後々助かることが多い。

「案外忘れてしまうのが、部屋全体の引きの写真です。アップばかりだと、どこの部分なのかわからなくなることもあります。給排水がどこまで伸びているのか、搬入経路はどうするかなどを確認するにも、全体の写真が必要です」

撮影は顧客に確認を取ってから行う。「お客様が写り込んでしまってもいいかも確認します。OKの場合、お客様の様子も入り込むように撮影します。そうすると、お客様の身長などを社内で共有することができるからです」

たとえば、ご主人の身長が高く、奥さんの身長が低い場合。どちらの身長にキッチンの高さを揃えるか、写真があれば社内で検討しやすくなると、浅野さんは話す。



見積書に付ける送付状
工事後の使い勝手まで説明

相見積もりを勝ち抜くための浅野さんの秘策は、見積書に付けている「送付状」だ。ただ見積書を送っただけでは、顧客は内容を理解できない。

浅野さんは見積もりの各項目について、「これはこういう工事で、商品の仕様はこうです」「詳しくはショールームでお話したいです」など、詳細な説明を付けている。そうすることで、顧客の疑問を先に解決し、後から質問する余計な時間を発生させないメリットもある。

「送付状では『このトイレは手洗い付きなので、今までと同じようにお使いいただけます』など、工事後にどんな風に使えるかまで説明しています」と浅野さん。長文はポイントがわかりにくくなるため、強調したい部分は赤字や太字にするなど工夫も凝らしている。

細かな送付状を付けるようになってから、顧客からの返信が増えたと手応えを感じている。完工後のアンケートで「説明が細かくて、わかりやすかった」という嬉しい声が寄せられることも増えている。

換気扇交換を依頼した顧客は「工事内容を丁寧に説明してくれ、スタッフの人となりもよかった」と、複数の競合の中からキタセツを選択。その後もキッチンの交換、洗面台の取り付けなど、次々と工事を依頼してくれた。



自転車で営業回り
渋滞なく、話のネタにも

営業エリアを品川区・大田区に絞っているキタセツ。顧客宅への訪問に、浅野さんは自転車を活用している。「自転車で行くと、渋滞や駐車場所の心配がなく、狭い道も入っていけるので、すぐに伺えるのがいいですね」

ある顧客からは、自転車で来たことを「営業っぽくて、頑張っているね」と褒められた。「人力で来ているのが、アピールになっているのかもしれません。自転車で何分かかったなど、話のネタにもなって、話しやすい雰囲気になります」



売上目標達成のカギは迅速な見積もり提出

浅野さんの1年目の営業目標は2000万円。実際はそれを上回る2500万円を達成した。2年目の目標は5000万円だ。

目標達成には見積もりの提出スピードがカギだと考える。「キタセツ以外の選択肢が増える前に提出したいです。小型の案件なら、その日中か遅くても1週間以内。中型の案件でも2週間以内には提出するようにしています。提出が遅くなりそうな時は理由を伝えます」と浅野さん。

今後は、デザインの業務も担当したいと考えている。「子ども部屋のデザインやキッチンのタイルの提案などができたら、と思っています」と話している。

▲浅野さん愛用のアイテム。上左から使い捨てスリッパと、顧客宅で鞄を置くときに敷く敷物。その他、プラスマイナスそれぞれのドライバー(大小)とスケール、レーザー距離計、下地探し、消毒液、三角スケール、ノギス。メモを取る付箋は数種類も用意。ペン類では伝えたいことを強調するのにマーカーや赤ペンを使用(ペン類は右端のポーチにまとめる)。朱肉と捺印マット。手袋は重たいものを持つ時に力が入るようグリップ付き。「外での作業で手が汚れそうな時も手袋を使います。もう一度お客様の家に上がった時、きれいな手でものに触れるようにです」(浅野さん)



リフォマガ2023年2月号掲載

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