今月の輝く!リフォームセールス~自社職人の強みフル活用年間1億8000万円 お客様にストレスを感じさせない「愛」ある接客

今回登場するのは、元職人の鈴木勝(まさる)さん。人と人との間をつなぐことを大切にしている、顧客からも職人からも信頼を置かれる営業マンだ。

▲アイテリアナカムラ(神奈川県相模原市)ショールーム館長 鈴木 勝さん(46)

高校を卒業後、実家の工務店で大工職に就く。しかし怪我のため現場を離れることになり、不動産営業に転身。次第に自身が再び住まいづくりに関わりたいという思いが芽生え、リフォーム業へ転身した。



黙々と作業するタイプ
接客に苦手意識

鈴木さんの実家は、相模原の工務店。人と接しない仕事で黙々と作業したかった鈴木さんは、高校卒業後に実家で大工の道へ。10年勤めるも、利き手に怪我を負ってしまったことで続けるのが困難となり、同じ建築業界の不動産営業に転職した。

人と接するのが苦手だったと話す鈴木さん。「お客様を乗せた車の中で、沈黙が気まずくて。何か喋らなきゃと焦っていました」と当時を振り返る。人とのコミュニケーションの難しさに悩む日々の中で、印象に残っている事がある。ある日の内見の帰り、顧客と車に乗っていると珍しい二重の虹に遭遇した。鈴木さんは『これはきっと売れる』と確信した。予想通りその顧客は、すぐに成約になった。

この出来事に背中を押されて、自信がついたと話す。徐々に成約が取れるようになり、顧客に喜んでもらえたりと経験を積むうちに、人と人との間に立つ営業という仕事に魅力を感じ始めた。

次第に、完成品を売る不動産ではなく、作る過程に携わりたいと思うようになった。その後リフォーム営業へ転身。2016年に地元、相模原のリフォーム会社「アイテリアナカムラ」に入社した。



自社職人ゆえの信頼関係
「言った言わない」がない

「アイテリアナカムラ」の強みのひとつが、社員職人による自社施工だ。これにより、安定した施工品質のキープと、価格を抑えることを実現している。社内的にも、メリットが大きいと鈴木さんは言う。

例えば、電話でのやり取りだと、どうしても齟齬が生まれることがあり、互いにストレスに感じてしまうこともある。

しかし同社では、職人と営業は、毎日会社で顔を合わせる環境にある。現場がある日なら、当日に工程表を手渡しし、作業確認も直接できる。現場に行く時も、現地集合でなく一緒に向かうことも。強固な信頼関係があるので、安心して現場を任せられ、営業に専念できるのだ。

鈴木さんも日々「圧倒的にコミュニケーションが取れるので、言った言わないのようなズレが起きません」と、職人との連携の強さを実感している。



何でも聞いてストレス減
先回りで円滑に

鈴木さんが顧客と接するうえで大切にしているのが、ストレスを抱かせないようにすることだ。聞きたいことが聞けない、先に知りたかった、といったストレスの種を鈴木さんは無くしていく。

「例えば、工事中に出かけてもいいのか?リフォーム後に使っていい洗剤は?と、現場がはじまってから気になることはたくさんあります。お客様が構えなくていいように、聞きたいことは我慢しないでくださいね!とオープンな姿勢でいます」

自分から質問するだけでなく、「相手が自分の家族なら?友人なら?」と考えて、親身でいるよう心がけている。相手の話を聞くスタンスで、心を開いてもらうのだ。

また、円滑に進めるために、鈴木さんは先回りした準備を欠かさない。

例えば、OB客フォローでは必ず過去の工事履歴をチェックする。お風呂を何年前に工事しているな、ということはトイレもそろそろ寿命かな、と予想し資料を持参する。紹介の場合は成約率が高いので、あらかじめ工事段取りまで考えてから提案にいくと、スムーズに商談が進み効率的。その分、現場フォローに時間が割ける。



スピード対応で成約
「鈴木さんが一番早い」

相見積もりの相談でも、どうぞどうぞと受け入れる。すでに他社で見積もり依頼をしていたある顧客宅での現調時のこと。鈴木さんは、1〜2週間で見積もりを出すと伝えたが、実際には5日ほどで提出。メールでのやり取りも即対応していた。結果、約1200万円の大型リフォームの成約を勝ち取った。

「鈴木さんが一番早くて、安心できた」のが決め手だったという。早さで選ばれることは少なくない。

スピーディに見積もりが作れる理由は、社内で設備の価格表を作っていることが大きい。バス、キッチン、トイレ、床などの部位ごとに、それぞれ主力メーカーの価格・掛け率をまとめた社外秘の資料だ。手すりやアクセサリー類など、よくあるオプション工事の価格もまとめてある。価格表と複写式の見積もり用紙は常に持っているので、内容によってはその場で見積もりを出せる。

また、提出期限はゆとりを持って伝える。それより早く渡すことで、よりスピーディーに対応してもらえた、と印象付けられる。



見積もりは大まかに
速度重視で顧客待たせず

見積もり内容を細かくしすぎないのも鈴木さん流。一式表記で出すことも多いが、先に細かくないですよと言っておくことがポイントだ。さらに、規模の大きくない現場では図面を書かないこともある。

「資料が細かすぎてもお客様は理解しきれなくて、逆に悩ませてしまうので。それよりも、待たせるストレスを減らして、早く説明してあげたいんです」と鈴木さんは話す。

顧客に他社の見積もりを見せられて、内容の説明に応じることもある。そうした時、鈴木さんは、他社を否定したり、自社を強くすすめたりはしない。客観的な事実と、顧客の疑問にあくまで正直に答える。この誠実さが、信頼される秘訣だ。



職人の予定を埋めれば
売上達成の目標管理術

鈴木さんの売上目標は月1300万円。だが、数字はあまり意識していないと話す。「売上金額の数字よりも、職人の予定が空いてしまっていないかの方が気になります」と鈴木さん。

職人の予定が空いているのは、工事予定がないことを意味する。予定を埋めるように工事を入れていくと、自然と売上金額も上がっていく。この手法で、昨年は1億8000万円の実績を残している。

接客が苦手だった鈴木さんが、今一番大事にしていることは「相手に対して愛のある行動ができているか」。これからも、価値観を押し付けず、周りを尊重できる営業でありたいと話す。

▲鈴木さん愛用のアイテム。ローンの支払い金額が算出できる金利電卓は、不動産業時代から使用。そのほか、測量計、コンベックス、定規、朱肉、ライト、ドライバー。(+価格表と見積書を常備)

▲定規の裏には長さの換算表があり便利な仕様。畳の家が多いので、隙間に入れて厚みを測るのにも使う



すべてが見えるチラシ

▲アイテリアナカムラの強みがわかりやすいチラシ。プランもそうだが、大工を含めた社員全員の簡単なプロフィールが載っており、顔が見えることで安心してもらえている。チラシはオンラインでも公開している

▲「チラシを見ました」とショールームを訪ねてくる顧客も



リフォマガ2022年9月号掲載

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