【ロートアイアン職人】岩脇啓之さん(48歳)
リフォームの営業担当者にとって、熟練の職人さんは大切なパートナー。今回登場するのはロートアイアン(鍛鉄)職人の岩脇啓之さんだ。鉄の芸術・ロートアイアンに真摯に向かい合う職人の姿を紹介する。
丁寧できっちりした中にも遊びのある製品づくりを目指す
燃え盛る炉の中で、真っ赤に熱せられる鉄。それを叩いて鍛え、直線だけでなく流れるような曲線を形作り、階段の手すりなど様々な製品を作り出す。
「鉄は熱によって歪むので、単純に4本の鉄の棒を溶接で組付けても、正方形にはなりません。それを修正するのが難しくもあり、鉄の面白さでもあります」と岩脇さんは話す。
岩脇さんが作業をする上で大切にしているのは、丁寧にきっちりとした製品を作ること。そしてその中で、遊びのある製品をつくること。とはいえ、納期があるので、スピードも求められる。この2つを両立できるよう、日々技術を追求している。
その他、岩脇さんは日頃から作業場を整理整頓し、道具を探す手間や時間を減らしている。他の場所に道具を取りに行く動線の中で、次に使う道具も一緒に用意する。よく使うパーツの製品は時間のある時にまとめて作っておくなど、作業スピードを上げる工夫をしている。
作業中は他の職人の動きにも気を配る。火花が飛ぶ方向に他の職人がいないかなど、気遣うことでケガを未然に防ぐ。作業中、頭はフル回転だ。
1つの製品を1人の職人が担当するが、重量もあるので、他の職人に手伝ってもらうこともある。「職人同士のコミュニケーションも大切」と岩脇さんは話す。
▲溶接作業をする岩脇さん。激しく火花が飛んでいる。「どの作業をいつやるのか、仕事の段取りを考えることが大切だと思っています。そうすることで、少しずつ丁寧さとスピードがついてくると感じています。まだまだ日々精進です」
▲一つひとつ手で鉄を曲げていく作業の様子
▲ガス炉で真っ赤に熱せられる鉄
▲鉄を鍛錬する時に使う、鎚(つち)とアンビル(金床)
鉄が形作る流線の美しさ
草花など自然も表現
ロートアイアンの製品で多いのが門扉、手すり、フェンスの3種類。
「ベースとなる考え方はありますが、そこからアレンジして毎回違ったデザインになります。どの製品も出来上がった時は嬉しく、達成感を感じます」と岩脇さん。
「ロートアイアンの魅力の一つは、流線を活かした製品が作れること。鉄は硬いですが、熱を加えることでどのような形も作ることができます。木の葉や薔薇の花といった自然も表現することができるのが、ロートアイアンの良さだと考えています」と岩脇さんは話している。
▲ロートアイアンの手すり。鉄の質感が独特の高級感を醸し出している
推薦の言葉
ナルディック代表取締役社長 中村太亮さん
岩脇さんの仕事の素晴らしいところは、非常に繊細で正確な仕事をしていただけるところです。
まだ職人の歴は浅いですが、他の職人に負けずメキメキと技術を身に付けています。
手仕事だけでなくレーザーカット、切削などの機械加工やCADにも精通しています。
製作現場では他の職人のフォローや工程を整えたりと、全体を見渡して器用にものづくりをしてくれます。職場を離れた環境でも自ら溶接の動画を見て勉強したりと非常に熱心です。
鉄を熱して叩いて曲げるロートアイアンの仕事は作品の出来上がった姿から華やかな仕事にみられますが、重量のある鉄を扱う非常に厳しい職業だと認識しています。その中でも岩脇さんのようにものづくりを真っ直ぐ楽しむ姿勢は製品を通じてきっとお客様に届くと信じています。
ナルディックからリフォーム営業担当者にメッセージ
「こうしてもらうと嬉しいなぁ」
ロートアイアンはオーダーメイドなので、規格品のようにこの寸法でなければいけないというものがありません。実はリフォームに向いている建材だということを知っていただきたいです。それに手作りですので、温かみのあるものが出来上がります。施主の方にも愛着を持ってもらえる空間作りに役立てていただけたらと思います。
リフォマガ2022年2月号掲載
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