メンテナンスで住まいの寿命を伸ばそう
見えない場所だからこそ、プロの目線でしっかりチェック。日差しや雨風による劣化を見極め、適切なリフォームを提案しよう。
美観・地域・コストで材料と工法を選ぼう
強い日差しや台風などの雨風、雪など、過酷な状況にさらされる屋根は建物の中でも劣化しやすい部位だ。雨漏れが発生していれば内部にまで影響を及ぼし、住まい全体の寿命に関わる。しかし、施主にとっては見えない場所で劣化に気づきにくく、何が起きているのかわからない。
そのため、適切なタイミングで点検、リフォームの提案が必要だ。主な屋根工事は、保護と美観を取り戻す「塗り替え」、既存屋根の上に施工する「重ね葺き」、下地ごと新しくする「葺き替え」の3種類。劣化状況や、屋根材の種類、耐用年数を考慮し選びたい。
屋根工事は高所作業のため、リスクを伴う。現場調査で屋根に上る必要がある際は、専門業者などに同行を依頼し、安全第一を心がけたい。
屋根リフォームのポイント
【劣化状態の見極め】
- 色あせ
- 苔・カビ
- ひび割れ
【屋根材の保護・美観】
- 種類によって耐用年数が異なる
- 下地の防水シート(ルーフィング)は一般的に20年で交換
【雨漏れなどの不具合】
- 劣化が進むと、見た目だけでなく建物内部にも実害が生じる
主要な屋根材の種類とポイント
工法別 屋根リフォームの種類と特徴
屋根工事は大きく分けて3種類。劣化状態や、使用されている屋根材に合わせて、適切な工法を選ぼう。
《塗り替え》屋根に塗料を塗る
- 劣化が少なく、下地がしっかりしていれば施工可能。
- 最も工期が短く、費用も抑えられる。
- アスベスト不可になった2000年頃のスレートは、不具合が起きやすいので要注意。
【メリット】
- 短工期、低コスト
- 廃材が少ない
- 騒音が出ない
【デメリット】
- 施工できない屋根がある
- 数年で色あせの可能性がある
【適している屋根材】
- セメント瓦
- スレート、金属
- アスファルトシングルなど
《重ね葺き(カバー工法)》既存の屋根の上に、新しい屋根をかぶせる
- 劣化が進んでいても、下地がしっかりしていれば施工可能。
- 屋根が二重になることで、断熱性や遮音性が向上する。
【メリット】
- 短工期
- 廃材が少ない
- アスベスト含有屋根も施工できる
【デメリット】
- 重量が増すため屋根に負担がかかる
【適している屋根材】
- スレート
- 金属
- アスファルトシングルなど
《葺き替え》既存の屋根材を撤去して、新しい屋根を施工する
- 下地材まで劣化が進んでいる場合におすすめ。
- 屋根を軽量化することもできる。
- 既存の屋根材の種類に左右されない。
【メリット】
- 軽量化、耐震性能向上
- 下地も変えられる
【デメリット】
工期・費用がかかる
- 廃材が多い
- 騒音が出る
【適している屋根材】
- すべての屋根材
※ただし、既存より重量がある屋根材はNG
付帯部の補修も忘れずに!
屋根リフォーム時には、屋根そのものだけでなく、付帯部分のメンテナンスも一緒に行いたい。
《漆喰の補修》
瓦屋根の隙間を埋めるために、漆喰が用いられる。10年程度で劣化し、崩れてくるため、定期的に詰め直す補修が必要。
《部分交換》
屋根材が破損した場合、補修ですまなければ、一部交換することになる。
《棟の補修》
棟は、屋根の面と面がぶつかる部分。風や突風の被害を受けやすい。棟板金の劣化が進むと雨漏れにつながるため、下地ごと交換することもある。
リフォマガ2022年7月号掲載
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