割れても室内に破片は飛び散らない
防犯ガラスは、「PVB」と呼ばれる樹脂製の中間膜を、2枚のガラスで挟み込んで加熱圧縮した合わせガラスで「防犯合わせガラス」と呼ばれています。この中間膜があることにより、ガラスに穴を開けようとしても無数にヒビが入るだけで貫通させることが難しくなります。また、ガラス表面に張る防犯ガラスフィルムと異なり、フィルムがガラスの間に挟まれているため、劣化しにくくなります。しかし、ただ「PVB」が挟んであれば防犯ガラスになるというわけではありません。一定の検査基準があり、国によってその基準は異なります。日本では、ガラス破りの手口で多い「打ち破り」と「こじ破り」への耐性基準を満たしたものを防犯ガラスと呼びます。
防犯ガラスの種類には「防犯ペアガラス」などの「複層ガラス」があります。防犯ペアガラスは、防犯ガラスと通常の板ガラスの間に空気層を挟んだもので、より防犯性が高くなります。室内側に防犯ガラスを使用しているため、万が一、誤ってガラスにモノをぶつけてしまっても、破片が飛び散らないので安心です。施工する際は、サッシごと替えるのではなく、アタッチメントを用いることで通常の1枚ガラス用のサッシにも取り付けることができます。
商品選びのポイント
設置場所に適した厚みと透明性
防犯ガラスは、中間膜が厚いほど防犯性能が高いとされています。中間膜の厚みは、主に30ミル(0.8mm)、60ミル(1.5mm)、90ミル(2.3mm)の3つがあり、一般住宅では30ミルか60ミルが用いられています。厚みがあるほどコストも高くなり、透明度も落ちてくることを念頭に置きましょう。また、官民合同会議が公表する「防犯建物部品目録」に記載された防犯ガラスには「CPマーク」が貼付されています。
※1ミル=1/1000インチ=0.0254mm
1分間で理解する防犯ガラス
チェック! P2A以上かつP2K以上の基準を満たすものを「防犯ガラス」と呼ぶ
試験方法:ガラスに正三角形を描き、鉄球を下記表の回数落下させる
基準1 「打ち破り」を想定した基準(板硝子協会)
基準2 「こじ破り」を想定した基準(板硝子協会)
トレンド
「打ち破り」「こじ破り」のほかに、火を使った「焼き破り」も急増しています。小型のガスバーナーと水でガラスにヒビを入れる方法です。時間はかかるようですが、打ち破りなどとくらべ、音が小さいのが最大の特徴です。熱にも強いガラスを選ぶ必要があります。
リフォマガ2021年9月号掲載
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