今月の輝く!リフォームセールス~入社1年で年間売上1億円 顧客も職人も魅了する誠実さと親しみやすさ

今回登場するのは、リフォーム営業として2年目ながら、1億円以上の売上を達成している、沼田美咲さん。顧客にも、職人にも誠実に接する沼田さんの営業スタイルを紹介する。

▲小川建装(東京都八王子市)住宅リフォームプランナー 沼田美咲さん(30)

文房具の商社で事務の仕事をしながら、土日にネイルサロンで働く。接客に興味があり、2019年の夏に小川建装に転職。資格はハウジングライフ(住宅)プランナーのほか、ネイリスト技能検定2級・ジェルネイル検定中級も取得している。



自主的にショールーム探訪 設備の知識を蓄える

入社後わずか1年ほどで、年間売上1億円を達成した沼田美咲さん。しかし、入社したばかりの頃は、何もわからない状態だったと言う。

小川建装では、営業担当が最初の提案から工事の立ち合いまで「一気通貫」で行うが、入社当時、沼田さんが現場に行くと「あなたがずっと見ているの?」と職人から言われたこともあったとか。

沼田さんは1件1件、現場を見ながら仕事を覚えたほか、自主的に色々なメーカーのショールームに行き勉強を続けた。

同社は「PanasonicリフォームClub」に加盟しているが、パナソニック以外のメーカーのショールームにも行き、「自分だったらどんなことが気になるか、どんなキッチンが欲しいか」と考えながら質問し、住宅設備の知識を蓄えていった。

「最終的にはお客様とショールームに行くのですが、忙しかったり、お子さんが小さくて、いくつもショールームを回れない方もいます。そんな時、『このキッチンはこうしたところが良かったですよ』とお伝えできるようにしています」と沼田さん。

実際に体験してきたことを率直に伝えることで、設備選びの判断材料を提供している。



売上1億円達成は長年の信頼関係の賜物

売上1億円を達成できたのは「小川建装を慕い、信頼して仕事を任せてくださるお客様に恵まれた結果です」と沼田さん。新人でも、小川建装の看板を信じて依頼してくれた顧客が多かった。

先輩にも恵まれ、「沼田さんの思う通りにやってみて」と自由にやらせてもらえた。

拙い沼田さんの企画書を、先輩がクオリティの高い3Dのプランボードに作り替えてくれるなど、ソフトの使い方や提案の仕方を丁寧にレクチャー。

「こうした先輩方の絶対的なサポートがあったからこそ、恐れずにトライができました」

1年目は工事を無事終わらせることを目標に、ひたすら水を掻いて前に進んでいるような感覚だったという沼田さん。自分が1億円を達成していたとは思いもしなかった。

「この売上は先輩や事務の方をはじめ、たくさんの方に手伝ってもらったおかげです」



マスクでも笑顔!顔の上半分でも表情豊かに

沼田さんは顧客と初対面で会う時、気さくに話しかけてもらえるよう、フレンドリーな雰囲気を心がけている。

マスク接客が当たり前の今、「笑っていてもマスクで隠れてしまうので、眉毛を上げたり、目をなるべく大きく開いたり、顔の上の表情だけで、笑顔が伝わるように意識しています。お客様に『話をしっかり聞いていますよ』ということが伝わるように、気を付けています」

また、各メーカーの「イメージブック」(見本帳)を打ち合わせ時に持参し、どんな色味や雰囲気が好きなのかを先に聞き、プランに反映。コロナ禍でショールームの予約数が減り、なかなかショールームの予約が取れない顧客も多いからだ。

「同じキッチンでも黒系が好きなのか、明るい色が好きなのか、好みはお客様それぞれ。ショールーム見学を待っていたら、工事がどんどん後回しになってしまいます。まずはイメージブックを活用し、どんなリフォームを希望しているのか、確認するのに活用しています」



LINE公式アカウントでコミュニケーション

また、コロナ禍で役立っているのがLINEだ。同社ではコロナ禍前からLINEの公式アカウントを使い、顧客とのやりとりに活用していた。

LINEを使う高齢者も増えたのに加え、平日は仕事があり、なかなか電話で話ができない顧客にも喜ばれている。プランの内容について昼間にLINEで送っておくと、夜間に確認して、返事をしてくれる。「場所と時間に縛られないコミュニケーションが取れるのは、良いですね」と沼田さん。

「お客様の中には、友達同士のようにスタンプを使ってくださる方もいますが、こちらからはあまり馴れ馴れしくなりすぎないように、また、夜遅い時間や朝早くには、メッセージを送らないように心がけています」



施工状況はアプリで職人さんと共有

沼田さんは職人との連絡方法にも気を配っている。

「職人さんによって、連絡を取りやすい連絡方法が違います。電話、LINE、メール、ファックスと、職人さんに応じて臨機応変に変えています」

施工の段取りの共有は、施工管理アプリ「ANDPAD(アンドパッド)」を使っている。

沼田さんは、「この工程が終わったら写真をあげてください」や「今日は施主の方が在宅されているので、ご挨拶してください」など、その都度気になることをメッセージとして送っている。

とはいえ、急な連絡の場合、職人は作業中のことが多く、なかなか連絡が取れないこともある。

沼田さんは、なるべく直前の連絡にならないよう、前々からリマインドしておくようにしている。例えば別の現場で会った時、「次の現場では、これをお願いします」と先々のことを予め伝えておく。

「職人さんは決して忘れることはないと思うのですが、日頃から『職人さんのことを気にかけていますよ』というメッセージを送ることで、何かあった時に、話しやすい雰囲気を作りたいと考えています」と沼田さん。スケジュールが厳しい現場になった場合でも、お互いに話し合えるよう、普段から良い関係を築くように気を配っている。

「協力業者の職人の皆さんは丁寧親切で、物腰柔らかな方ばかり。相談すると、きちんと答えてくださいます。本当に私は恵まれていると思っています」



家中にパナソニック製品それに気付き、3件受注

沼田さんは、顧客宅で打ち合わせをする場合、細かなところにも目配りをしている。

ある時、顧客の家の中にパナソニックの製品が多いことに気がついた。しかもナショナル名義だった頃の製品もある。トイレ交換のリフォーム案件だったが、沼田さんはパナソニックの製品を提案。すると顧客は「私、パナソニックの製品が大好きなの」と大喜び。一緒にトイレの内装工事も行うことになった。

その方は茶道を嗜んでいて、自宅には茶室があった。この工事がきっかけで障子の張り替えなども決まり、3件の受注をもらうことができた。



見積もりから値引きはなし 品質保持には必要と説明

顧客の多くが相見積もりで検討する中、沼田さんは、最初の段階で「値引きはしない」と顧客に伝えている。

時には「他社は値引きすると言ってるけど、できないの?」と聞かれることもある。

そんな時、沼田さんは細かな明細を出し、品質を下げないためにはこの金額が必要だと説明。価格を下げることで、十分な工事ができないことがあると、率直に伝えている。

すると、他社より高くても納得してもらうケースが増加。「細かい提案、職人さんの対応。総合的に安心できる小川建装さんにお願いしたい」と、嬉しい言葉をもらえるようになった。

「職人さんの技術に見合う金額で工事を依頼したい。値引き分を職人さんに負わせるわけにはいきません」と沼田さん。普段でも、追加で工事が発生した場合、「追加の経費はちゃんと申請してください」と、声がけしている。

「職人さんは遠慮をして『いいよ、いいよ』と言ってくださるのですが、何か不具合があった時のことも考え、こちらからお話するようにしています」

沼田さんは「これからもお客様に誠実に、弊社を選んでもらえるよう、努力していきたいです」と話している。



沼田さんの愛用している道具

1 スリッパ

2 カタログ(イメージブック)

3 マスキングテープ

4 針なしステープラー

5 動物の形のクリップ

6 ペン各種

7 消毒液

8 スマホ。広角カメラになるため、普通のデジカメでは写りきらない現場の撮影に活用

9 水平器

10 メジャー

11 レーザー距離計

12 マイクロスコープ(外壁の目視できないひび割れを見る)

13 水分計


▲沼田さんが担当した施工例。和風な中古住宅を、白を基調とした洋風古民家へとリノベーションした。1階にあるユニットバス・トイレ・キッチン等の住宅設備を新しくした

▲キッチンの裏手には、木の造作棚をアクセントにしたパントリーを設置。生活感の出やすいものは、家事導線を考えながらも見えにくくした。パントリーへの出入り口はアーチ状の開口にすることで、緩やかなつながりになるよう工夫

▲打ち合わせで使用した3Dパース画像。パースソフトはイオグランツ社の「Walk in home」。パナソニックと提携しており、各メーカーの機器素材の種類も豊富なため、活用している



リフォマガ2021年9月号掲載

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