今月の輝く!リフォームセールス~年間受注1億2000万円リピート率70%「目指しているのは住まいのかかりつけ医です」

今回登場するのは、丁寧なヒアリングでお客のニーズを聞き出すスペシャリスト・原目優介さん。「住まいのかかりつけ医」を目指す、原目さんにインタビューした。

▲さくら住宅(神奈川県横浜市)営業部係長 さくら住宅平沼店店長代理 原目 優介さん(30)



お客様が答えやすい質問でヒアリング

全国でも珍しい「原目」という名字の原目優介さん。「珍しい名前なので、まずはその話題でお客様と会話ができるのは、営業としての強みになっていますね」と笑う。

一昨年の受注は1億2000万円を超える。顧客からの信頼厚い営業マンだ。原目さんが営業をする上で大切にしているのは、「お客様が答えやすいように質問をすること。何に不満があり、どこをリフォームしたいのか。そこをしっかりヒアリングし、その内容をお客様と共有すること」と言う。

ヒアリングの方法で工夫しているのは、質問の仕方だ。

何カ所もリフォームしたい場所がある場合、どこに一番力を入れたいのか、優先順位をつけてもらう。間取りを変えたいのか、お風呂などの設備を新しくしたいのかなど、最初の段階で施主の意向をきちんと理解する。

さらに、質問をする時は、施主が答えやすいように「イエス」か「ノー」かで答えられる形式にしている。「キッチンには何が必要ですか?」と聞いてしまうと、漠然としすぎて、明確な答えが返ってきにくい。原目さんは具体的に質問をすることで施主の希望も見えてきてどんどん話が進み、どのようなリフォームをしたいのか全体像が見えてくると言う。



リフォームのタイミング今ではないという判断も

ヒアリングをしていても、リフォームの方向性が固まらないケースもある。

「逆に、そこまで固まらないのであれば、今はリフォームのタイミングではない、という結論に至ることもあります」と原目さん。

時期が来ていないにもかかわらず無理にリフォームをしようとしても、どのようにしたいのか、明確な目的がないまま工事をしてしまい、高いお金をかけたにもかかわらず、不満が残ってしまうことも。

「私共が目指しているのは『住まいのかかりつけ医』のような存在です。たとえ、この時はリフォームに至らなくても、2、3年後に『あの時、提案してもらったリフォームなんだけど、今度は話を進めたい』と申し出を受けることも少なくありません。何かあった時に、ご相談いただける関係性を築くようにしています」

同社の顧客のリピート率は約70%にのぼる。常に施主と同じベクトルを向き、思いや情報を共有することが、顧客満足度につながっている。



二度手間は絶対にNG寸法の取り忘れに注意

打ち合わせのため、施主は限られた時間を割いて、予定を組んでくれている。原目さんは、その貴重な時間を無駄にしないようにも心がけている。

「キッチンの様々なタイプ、I型、L型、アイランド型など、私共はイメージができますが、お客様はそもそもキッチンはI型しかないと思っている方もいらっしゃる。『アイランド型キッチンって何?』と聞かれる方もいます。具体的な設備の写真を見てもらった方がわかりやすいので、メーカーのカタログは必ず持参します」

さらに聞き逃しがないよう、「打ち合わせシート」にしっかりとメモをとるようしている。加えて、施主に許可を得た上で写真を撮影する。メモをした内容と写真で、より正確に現地調査を行うことができるからだ。撮影はデジカメやiPadでも行う。時にはiPadの大きな画面で写真を見ながら、施主へ説明をする場合もある。すべては施主が理解しやすい環境を作ることが一番だ。

寸法取りは、たとえキッチンだけのリフォームであっても、部屋全体の寸法も取っておく。後で内装工事が必要になることもあるからだ。

「一番やってはいけないのは、『寸法を取り忘れたので、もう一度訪問させてください』ということ。お客様の貴重な時間の中でしっかりと採寸を行い、より重要な箇所は細かく写真を撮影するようにしています」



初回の見積もりですべてをわかりやすく

原目さんが勝負ポイントと考えているのは、初回の見積もりの提出。そのために念入りに準備する。

「この見積もりで、お客様が契約するかしないか、決断できるよう、しっかり資料も揃えてお出しします」と原目さん。一緒に持っていくのは、規模が大きい工事であれば図面、設備関係であれば各メーカーのプラン例、キッチンパネルやクロスのサンプルも用意する。ここまでやるからこそ、事前の綿密なヒアリングと現場調査が重要となるのだ。



相見積もりは断ることも

さくら住宅では、数社から見積もりをとる施主の案件は、丁重にお断りをすることがある。同社でのリフォームを望む顧客を大切にし、その顧客に対して100%以上の提案をしたいと考えているからだ。

「打ち合わせの最初の段階で、相見積もりを取っているのか、取っているなら目的は何か、お客様に率直にお聞きしています」

セカンドオピニオンがほしい、他社のプランに不安があるなど明確な理由がある場合は受ける。しかし、理由がなく、数社に見積もり依頼をしているケースは価格競争となる場合が多く、丁寧な提案をすることができないと判断し、断ることもある。



営業の取りこぼしを防ぐこまめな中間報告

営業目標を達成するため、原目さんがやっていることは「現状の把握」。今日の時点でどのくらいの受注数字になっているか、今後の見込み客がどのくらいいるかを把握してから、行動する。

問合せが多い時期でも、取りこぼしがないよう連絡をこまめに入れる。「コロナ禍で訪問するのが難しくなっていますが、問合せをいただいてから次に連絡をするまで、1週間は絶対に空けないようにしています」と原目さんは話す。

火曜日に施主と打ち合わせをしたケース。メーカーに問い合わせる必要があり、その日は結論が出なかった。原目さんは水・木曜日が休みで、次に出社するのは金曜日。原目さんは休みでも、施主にとっては2日経っている。まだメーカーから返信が来ない時でも、必ず連絡を入れ「今週はメーカーからまだ結論が出ないので、週明けに再度確認をして、○日までにご連絡します」と伝えている。さらに、忙しそうな施主には、何時に連絡したらよいのかまで確認する。

「お客様によっては、金曜日の夕方に電話しても『朝、電話をくれるんじゃなかったの?』と言われることもあります。逆にお仕事をされている方は夕方以降でないと連絡がつかないこともあります。私共からの連絡待ちで、お客様の時間を拘束してはいけないと思っています。些細なことですが、それがきっかけで信頼を損なうこともあるので、気を付けています」



社員・職人が一丸となり施主の夢を形にする

さくら住宅ではリフォーム工事を行う際、営業・設計・工事の各部署に分かれ、分担して仕事を進めている。営業が工事管理まで行う一気通貫の方式はとっていない。

「社内の他部署の人間や、工事を担当する職人さんと一緒に、お客様の夢を作っている。常にそう考えて仕事と向きあっています」

▲原目さんが担当したマンションの全面リフォーム。広々とした空間になるよう、天井の高さを揃えたり、クロスの色などを提案。施主の希望に応えるために、海外製の商材を提案した

▲原目さんの愛用している道具。スケジュール管理は手帳で行っている。スケールは両面で計測できるタイプを使用。バインダーに挟まっているのが、メモをとるための「打ち合わせシート」。左上からデジカメ、懐中電灯、レーザー距離計、ドライバー、下地探し、これらの道具を入れる腰袋



リフォマガ2021年8月号掲載

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『リフォマガ』は、株式会社リフォーム産業新聞社が発行する現場担当者向けの情報誌です。 リフォーム営業マンに役立つ営業テク、現場調査の方法、商品情報を発信します。 雑誌『リフォマガ』は毎月15日に発行。年間購読料8,800円。(税込・送料込)

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