【THE SHOKUNIN】理想の家づくりを追求する孤高の建築職人

【建築職人】河津 守さん(48歳)

今回登場するのは経営者でありながら、職人としても「ものづくり」に対して徹底したこだわりを持つ河津守さん。家づくりへの強い思いをインタビューした。



職人から元請けになる!営業職も経験し、26歳で独立

河津守さんが社長を務める「総合建築職人会」。この会社は職人であった河津さんが、本当に良いものを作るには下請けで仕事をするのではなく、元請けとして会社を興さなければ意味がないと、強い信念を持って設立した会社だ。

河津さんは15歳で装飾金物の職人としてキャリアをスタートした。21歳の時、独立を見据えて、某住宅会社に就職。営業や設計、現場作業などを経験した。

「営業の仕事は初めてでしたけど、大変だと思ったことはなかったですね。職人として建築の知識があったから、営業トークを磨かなくても困らなかったです」



木材を加工できてこそ本当の職人

26歳で独立。その後、河津さんはシックハウス症候群を発症してしまう。そこから住む人の健康を考えた家づくりにこだわるようになった。

「合板を切っていると頭痛がして、涙は出るし、気持ち悪くて現場にいられなくなったんです。自然素材を使うのは自分が耐えられないからという理由もありますが、やはり刃物を使って木材を加工するのが職人だ、という思いがあるからです」

敷居や鴨居の樋端(ひばた)など、木材の加工ができない職人が多いと河津さんは嘆く。

「僕の修行時代は、親方はポイントは教えてくれたけれども、自分で見て、練習して覚えた。朝早く来て道具の手入れをするのは当たり前でした」

河津さんは、自分の時間も使って努力することが職人には欠かせないと考えている。

▲イスに使用する木材を加工する河津さん。こうした機械を使える大工が少なくなっていると話す



安心・安全な家づくり
良いものを適正な価格で

河津さんが職人として大事にしているのは「お客様にとって、安心安全な家を作ること」。

同社の顧客にはアレルギーを持っている人も多いので、土台に使う木材はヒノキかヒバと決めている。また、見た目の良さだけでなく、住み心地や耐久性も考え抜いて提案する。

「デザインがかっこいいのは当たり前。それでいて長持ちする。良いものを適正な価格で提供できるよう努力しています」

他社で断られたリフォーム案件を相談しにやってくる施主もいる。

「大変な工事はいっぱいやりましたね。でも、できないとは言いたくないんです。どうやったらできるかを考えます」と河津さんは常に前を向いている。

▲工房では金属加工も行う。これはイスを作っているところ。河津さんの高い技術で接合部分も滑らかに仕上げる

▲河津さんが愛用している道具の一部。鉋は他の職人から譲り受けたものもあり、年季を感じさせる



河津さんからリフォーム営業担当者にメッセージ

「本当の営業力とは?」

営業という仕事は、誠実さだけでは本当にいい仕事はできません。ちゃんと建築について勉強をする姿勢が大切です。真剣に覚えたいと思っている営業さんは、職人が作業しているところにやってきて見て覚えますよ。今はそういう人が少ないです。そうやって得た本物の知識が営業力になるんです。技術と知識を身に付けることが、お客様の要望に応えられる一番の近道だと思います。



リフォマガ2021年7月号掲載

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リフォマガ

『リフォマガ』は、株式会社リフォーム産業新聞社が発行する現場担当者向けの情報誌です。 リフォーム営業マンに役立つ営業テク、現場調査の方法、商品情報を発信します。 雑誌『リフォマガ』は毎月15日に発行。年間購読料8,800円。(税込・送料込)

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