今回登場するのは竹内建設のリフォーム事業部の若きリーダー、千葉哲也さん。新人時代の失敗を糧に、スゴ腕営業マンに成長したプロセスを聞いた。
▲竹内建設(北海道札幌市)リフォーム事業部 営業課 係長 リーダー リフォームショップ店長
千葉 哲也さん(34)
ミスを許してくれた上司絶対に恩返しすると奮起
北海道で新築、リフォーム、リノベーションを手掛けている竹内建築。千葉哲也さんはリフォーム事業部に所属し、2020年は売上1億5000万円を達成したスゴ腕営業マン。しかし、そんな千葉さんも入社当時は失敗ばかりだった。
「今では笑い話ですが、メーカーにトイレを頼んだら、そこが工事もしてくれると思い込んでいましたので、見積もりに工事費を計上しなかったんですね」と苦笑する千葉さん。
上司はそんな千葉さんを怒ることなく、ミスを許してくれた。
「『工事費のやりくりはこっちがなんとかするから、その経験を活かして、次はミスしないようにしなさい』と言って下さったんです。きっと裏で職人さんたちに頭を下げてくれたんだと思います。本当に申し訳ないという気持ちと、絶対何年後かに受注をたくさんとって、恩返しをしたいという気持ちになりました」
わからないことは協力業社の方に相談
新人時代の千葉さんはわからないことがあると、とにかく協力業者の方に連絡を入れ、教えてもらっていた。
「一緒に現場調査に行ってもらったり、どこに頼んだらいいかアドバイスをもらったり、ほとんど毎日のように電話をしていました」と千葉さん。
「あんまり聞きすぎて、怒られるかも」という気持ちもあったが、「後々、迷惑をかけるくらいだったら、怒られた方がマシ」と割り切った。
「自分が誤った判断をしてしまうと、実際に作業をしてもらう協力業者さんに迷惑がかかってしまいます。それを避けるためにも、アドバイスを仰ぐようにしていました。ほとんどの方が嫌がらずに対応していただいて、本当に私は恵まれていると思いましたね」と千葉さんは話す。
できる、できないの判断はしっかりと調べてから
千葉さんが営業をする上で大事にしていることは「嘘は言わないこと」。
工事ができるかできないかわからない状態の場合、千葉さんは必ず調べてから、正確な情報を伝えるようにしている。
以前、千葉さんはこれまでの経験からトイレの排水芯をずらせると判断したことがあった。ところが開けてみたら下にコンクリートブロックが入っていてずらせなかった。図面にも記載がなく、開けてから初めてわかったことだった。
「それからは必ず調べてから、お伝えするようにしています。それを徹底していることで、お客様アンケートにも『そういうことを言ってもらったのは初めて。できるできないの情報を提供してくれる竹内建設さんは信頼できる』と言っていただけるようになりました」
期日を守るために会社が一丸となって協力
もう一つ、千葉さんが大切にしているのは「期日をしっかり守ること」。
小学校から野球をはじめた千葉さんは、東海大学付属第四高等学校中等部に進学。同高校と東海大学では寮生活をしながら、野球漬けの日々を送った。
「野球部では、常に10分前行動。遅れるということはあり得ませんでした。時間を守る意識は野球を通して身に付いていました」(千葉さん)。
とはいえ、リフォームでは予想外のことが起こることが多い。それでも期日が厳守できるのは、会社全体で期日を守るという意識が高く、チーム一丸となって取り組んでいるからだ、と千葉さんは話す。
「困っている社員がいたら、一緒に書類を作成したり、代わりに現場に行ったりします。協力業者さんにも、このトイレでは設置できないと分かった時点ですぐに代わりのトイレを届けてもらうなど、助けていただいています」
それでも万が一遅れることを考慮し、1、2日遅延することがあることを文書にして提示。顧客に納得してもらっている。
社員のスケジュールを共有
時間のロスをなくし効率向上
年間1億5000万円もの売上を上げ、営業目標値をクリアしている千葉さん。しかも残業も少なく、休みもしっかりとっている。その秘訣は「スケジュール管理」にある。
千葉さんは前日、次の日にやるべきことを5つほど書き出しておく。そうすると、朝からやることが決まっているため、集中して仕事が行えるという。
また、部署内の社員のスケジュールをGoogleカレンダーで共有。お互いに今どこで仕事をしているのか、把握している。
例えば、札幌市西区で水漏れの案件があった場合、西区に営業に行っている社員が直行する。
わざわざ店舗のある豊平区からいくと時間がかかってしまうが、現場に近い社員が駆けつけることで、時間のロスをなくしている。
苦い経験から事前準備の大切さを学ぶ
目標の数字を達成しようと焦り、失敗した苦い経験もあった。3階建の防水工事の案件で、リフォーム費用は1500万円。新人時代に初めて巡ってきた大型案件だった。
「どうしてもその数字が欲しくて、焦ってしまい、事前準備が十分でないまま提案し、実質1600万円かかってしまいました」と当時を振り返る千葉さん。
千葉さんはシート防水で提案したが、実は顧客はアスファルト防水を希望していた。結局工事単価が大きく違ってしまい、工事費用の超過分は会社が負担することになってしまった。
「自分が失敗した時の原因は『情報不足』と『思い込み』。この2つなんです。この案件から、数字に焦ってはいけないということと、しっかりとした事前準備の大切さを学びました」
リーダーとしてリフォーム事業を引っ張る
相見積もりを勝ち抜くため、千葉さんは見積もりを4パターンほど出すようにしている。3パターンは顧客の要望に沿ったもの、もう1パターンは千葉さんなりに考えて金額を抑えたものだ。
3社での相見積もりなら、通常3つの見積書しか出ないはずのところ、6つの見積書が並び、そのうちの4つは千葉さんの見積書ということになる。
「狙いは竹内建設を選んでいただける確率を上げること。とにかく弊社の名前を覚えてもらおうと考えました」と千葉さん。この必勝法で何件も成約に結びつけた。
千葉さんは今年4月からリフォーム事業部のリーダーに就任。またリノベーション事業と合同の「LIXILリフォームショップ」の店長も任された。
「キャプテンとして、常に新しいことに挑戦していきたいです」と意気込んでいる。
▲千葉さんが手掛けた案件の1つ。懐石料理店(元はお寿司屋)の2階を客席から住居用にリフォームした。2階だけで170.15平方メートル(延べ床面積)あり、LDKの広さは40帖と広々
▲料理人であるご主人のこだわりは、キッチンとキッチン収納。奥様のこだわりは洗面台とお風呂で、洗面の間接照明が特に気に入っている
▲竹内建設は2019年(令和1年)11月11日、社内向け新ブランドアイデンティティを発表し、新ブランドミッションとして、「暮らしにきらめきを。」(illuminate a life.)を決定。「ブランドブック」と「バリューブック」を制作した。ブランドブックには、会社としてのステートメントやブランドミッションについて、バリューブックには「タケウチ人」としての7つのバリューとその詳細が書かれている。7つのバリューとは「プロフェッショナル・責任感・愛・チャレンジャー・コミュニケーション・好奇心旺盛・経営者意識」。全社員はこの2冊と、社章(写真中央)を常に携帯している
▲千葉さんが愛用している道具。バッグと革のファイルの手帳、スマホ、名刺入れ、竹内建設のブランドブックとバリューブック。その他、引き渡しの時、保証書と一緒に自分の顔写真や連絡先、プロフィール(履歴・趣味・家族構成・好きな食べ物や音楽、スポーツなど)を書いたA4大の「自己紹介」のカードを渡している。「保証書と私が常に一緒にいる感じです。何かあれば私に連絡をもらえるよう、顔を忘れないでいただくために入れています」
リフォマガ2021年6月号掲載
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