今月の輝く!リフォームセールス~自転車で稼ぐ営業を実践!「メールより足を運ぶからこそ伝わるものがあります」

自転車で稼ぐ営業を実践!
「メールより足を運ぶからこそ伝わるものがあります」

今回登場するのは、24歳のフレッシュな営業マン、百武新(ひゃくたけ あらた)さん。自転車で営業に回るバイタリティに加え、冷静に数字の管理もできる、若き期待の星だ。

▲ニッカホーム関東(東京都世田谷区)板橋営業所 主任 百武 新さん(24)

1996年、神奈川県出身。曽祖父、祖父が木材業を営み、母親は設計士。「小さい頃、いつも落書きしていたのは図面の裏」(百武さん)という家庭に育つ。大学卒業後はリフォームの仕事がしたいと、ニッカホーム関東に就職。板橋営業所に配属される。5歳から12歳までクラシックバレエを習っていた経歴を持ち、珍しい苗字と合わせて、会話のツカミとして活用している



営業は自転車で稼ぐ!ご近所の顧客にポスティング

「営業は足で稼ぐのはもう古い」と言われる。しかし、百武新さんは日々自転車に乗って、顧客先をまわり、リフォーム案件を受注している。

例えば、相見積もり中の顧客のところには「この前、お話したサンプルが手に入ったので入れておきますね」とこまめにポスティング。

すると、顧客は「気に留めてもらっている」「忘れられていない」と感じてくれると言う。

「メールでやりとりするよりも、自分の足で持っていった方が伝わるものがあります。アナログですが、僕はこの方法が好きですね」

ある顧客は2階のトイレが漏水し、1階が水浸しになった。ニッカホームを含め数社に見積もりを取ったが、保険がおりるまで工事の開始は一時延期に。

その間、百武さんは2週間に一度ほど「新しい商品が出ました。こんな感じの建材もどうですか?」と連絡をとり続けた。

他社からはそうした動きがなかったこともあり、いざ工事をするとなった段階で、「あの建材でお願いします」とすんなり契約が決まった。

自転車で回る地域密着型のマメな営業が着実に成果を挙げている。

▲大きな荷物がない限り、電動自転車で営業に行く百武さん。颯爽と自転車を漕ぐ姿は、元気いっぱい。顧客にも好印象を与えている。「入社時も静岡から東京まで自転車を漕いで上京してきました」



先手必勝早めの提案で主導権を握る

相見積もりを勝ち抜くには「最初に主導権を握ることが大事」と百武さん。例えばキッチンリフォームの場合、L型・I型の両方のタイプを検討している顧客がいるとする。百武さんは早めに両方の商品を提案。L型と決まったら、材質はステンレスがいいのか人工大理石がいいのか、ショールームに案内をして違いを体験してもらう。

このように早め早めに話を進め、他社が両方の型で提案してきても、「もうL型に決めたから」と言う流れを作ってしまう。これが百武さんの相見積もり必勝法だ。

この主導権を握るためには、やはり粘り強いマメな営業が欠かせない。

「なるべく1回目の打ち合わせは家族全員で参加してもらうようにお願いします。奥様だけとお話しても、実は旦那様が反対意見を持っていて、前回の打ち合わせ内容が白紙になってしまうこともあるからです。一番最初の打ち合わせが確固としていればいるほど、相見積もりには有利になると思っています」

▲百武さんの愛用のアイテム。左上から消毒液、巻尺、電卓、ドライバー、差金、カッター、契約用のペン、レーザー距離計、バインダー、プラスアルファで提案できそうな商材のカタログ、手帳



売上目標達成はスケジュール管理から

毎月の売り上げ目標を達成するために百武さんがやっていることは、スケジュール管理だ。

月の初めに、まず現在抱えている案件をリストアップ。給湯器が壊れたというような緊急の対応が必要な案件をはじめ、月内に成約が取れそうなものをピックアップする。それらの売上げを合算し、売上げ目標に対し、どのくらい金額が足りないか把握する。

「こうして一度整理することで、月末になって慌てて営業先を探さなくて済むようになります」と百武さん。

慣れてくると、どのくらいで目標を達成できるか、おおよそのめどを立てられるようになってくる。月の中旬までに達成できそうなら、翌月に向けた営業活動を始めておく。

「打ち合わせから成約まで約1カ月はかかります。10月の売り上げは9月中に決まると考え、前倒しでスケジュールを組むことができれば、良いサイクルを作ることができます」

百武さんの営業目標は年間7200万円。月では600万円に設定している。

「これ以上の数字になることもありますが、あまりにキャパシティを超えてしまうと、忙しすぎて、お客様に迷惑をかけてしまうと思っています。それがクレームにつながったら本末転倒です」と百武さんは話す。



こまめなヒアリングでリピーターを作る

リピーターになってもらうため、百武さんが工夫しているのが「工事を分けて提案すること」。リフォーム工事の際、他にもリフォームを考えている場所を聞き出し、継続して依頼をもらえるようにしている。

ガスコンロの取り替えを依頼したある顧客。そこの家には雨漏りの跡があったため、百武さんは点検と防水工事を提案。すると、ガスコンロをキッカケに200万円もの防水工事の受注につながった。

さらに防水工事中に施主から「家が寒い」との相談を受け、内窓を設置。さらに自動車の買い替えに合わせてカーポートも新設。その後も網戸の設置、照明の取り替えと、依頼が途切れずに続いている。

「急に『何かお困りのことはありませんか?』と連絡すると、いかにも営業っぽく聞こえてしまいます。まして、それが月末であれば、営業実績の都合で連絡していると思われそうですよね。話のキッカケを作っておけば、『ご相談していた案件、以前よりもお値引きされた商品があるのですが、どうですか』というような言い方で、連絡するとができます。言葉選びにも気をつけています」

こうした方法で、百武さんの顧客のほぼ半数がリピーター客となっている。



百武という人間を買ってもらう

「会社が大きくなればなるほど、『人』でものを売った方が有利だと思います」と話す百武さん。同じメーカーのトイレを扱うのは他社も同じ。それならば、自分自身を気に入ってもらい、信用してもらうかが重要だと話す。

リフォームは工事が始まってから、当初の予定とは違う事態が起こることもしばしば。百武さんは起こりうる不安要素を考えておく。先が読めない時は素直に「何度もやらせていただいている工事ですが、もしかしたら、予定通りにいかない場合があります。その対処方法にはこういったものがあります」といったところまで説明する。

地域密着の同店だからこそ、そうした不安要素を先に取り除けることもある。例えば、マンションのバスルーム。アスベストが使われているかどうかは、本来は壊してみないと分からないが、別の案件で同じマンションの部屋を工事した経験から、アスベストの可能性を示唆できる。

「お客様の不安を取り除くだけでなく、職人さんの不安も取り除き、信頼してもらえるようになりたい。困った時には職人さんと助け合える関係をつくりたいです」

▲契約用のペンは百武さんの名前入りのモンブランのボールペン。「お客様から何百万円という金額を預かる、自分へのけじめの意味もあり、良いボールペンを使っています」



引き出しを増やし空間提案ができるように

百武さんは今後、空間提案もできるようになりたいと考えている。

「一番目に見えて、空間の印象を変えることができるのが照明。レールを使ったり、ペンダント照明にするだけで雰囲気が変わります」と百武さん。

トイレやバスの取り替え工事だけでは提案がマンネリ化しがち。自分の引き出しをもっと増やすためにも、魅せる収納などをはじめとする、空間全体をデザインできるようになるのが、今の目標だ。

「お客様にお金をかけた甲斐があったと思ってもらえる、リフォームを目指します」と話している。

▲ニッカホーム関東 板橋営業所内のショールーム

▲同店の外観。川越街道沿いに面している。店外で百武さんの撮影しているところ、偶然顧客の女性が通りかかり、世間話をするシーンも



リフォマガ2021年1月号掲載

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