軽くて意匠性が高い塗り壁
「軽量モルタル」とは、主にセメントと軽量骨材を原料としてできた軽い塗り壁で、すでに工場で調合されている工場製品です。塗り壁独自の意匠性や防火性などから根強い支持があります。
軽量モルタルの特徴は、まずその防火性にあります。主にセメントと水が反応したもので出来た軽量モルタルは火に強く、内部で火災が発生しても壁だけ残るケースがよく認められています。しかも軽量のため、軽くて防火認定を取得できる材料として知られています。砂モルタル(セメントと砂を3:1の割合で混ぜて水を加えて練ったもの)と違い、内部の骨材がスチレン粒などで軽いため、砂モルタルの3分の1程度の軽さを実現しています。また、無機物なので、耐久性も高いのが特徴です。
もう1つの特徴として、意匠性の高さがあります。モルタルのような湿式建材は独自の風合いを持っており、職人のコテさばき一つでいかようにも表情を変えることができ、仕上げ材の種類でさまざまなカラーが選べます。継ぎ目がない上、曲面の壁やアーチ形の開口部にも施工しやすく、高級感がある外観をつくりだせるのも塗り壁ならではです。
商品選びのポイント
仕上げ材の確認でクラック防止
軽量モルタルで、注意したいのは施工後のクラックです。柔軟性があまりなく、地震などで構造体が動く木造住宅ではクラックが発生しやすいのです。モルタル内の水が固まる前に凍結する場合があるため、寒冷地や寒い時期の施工にも注意が必要です。ただ、このクラックは施工方法で大幅に改善が可能です。商品を選ぶときには、施工方法もしっかり吟味するようにしましょう。
1分間で理解する軽量モルタル
チェック! 軽量モルタルの特徴
特徴1 目地部分がない
塗り壁なのでサイディングとは異なり、目地部分が必要ない。そのため目地の劣化に伴う水漏れの心配がない。
特徴2 耐久性
表面部分は定期的な塗装が必要であるが、内部のモルタルは無機物なので耐久性が高い。
特徴3 意匠性
塗り壁独自の質感が一定の層に支持を得ている。
トレンド
モルタルは、外壁サイディングの流行で需要が落ち込んだものの、意匠性などから改めて見直されています。かつてモルタルといえば「砂モルタル」が主流で、施工後のクラックが大きな問題でした。しかし、材料の進化でクラックの発生は改善されてきました。現場で骨材と水を混ぜる砂モルタルと違い、工場製品となっているため、湿式工法ではありますが、比較的工期は短くなります。
リフォマガ2021年1月号掲載
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