土壌や給排水管からの進入も防ぐ
「防蟻剤」は、その名の通り、シロアリを防ぐための薬剤のことです。シロアリの食害は木材だけにとどまらず、プラスチックやゴム類、繊維をはじめ、軟らかい亜鉛や薄板の金属、コンクリートまで及ぶので、しっかりした対策と対処が必要です。
防蟻剤を使った対処には、大きく分けて「木部処理」と「土壌処理」との2つの方法があります。木部処理は直接、木材表面に薬剤を塗布・吹きつける処理や、木材や壁に薬液を注入する処理です。土壌処理は、床下などの土壌に薬剤を散布する処理のことです。シロアリは土壌中だけでなく、給排水管などが通る隙間から侵入する場合もあるため、しっかりと進入経路を断つための対策が必要です。
また、定期的にしっかりと施工を行うことが重要です。防蟻剤の基準を定めている「日本しろあり対策協会」によると「薬剤の持続効果は最大で5年間」としており、「5年を目途に再処理を行う」としています。補償期間を忘れたり、建築時に薬剤散布したから安心だと勘違いしているユーザーが多いため、適切な提案が必要です。
商品選びのポイント
忌避性か非忌避性かをチェック
実際の施工は専門業者が行いますが、薬剤が「忌避性」か「非忌避性」か、仕様をしっかりチェックし、住宅の状態に合った商品を使用することが重要です。
忌避性は、シロアリが嫌う薬剤を使用しシロアリが近づかないように予防する対策です。一方、非忌避性は薬剤に触れたシロアリを直接退治をする対策です。シロアリ同士で薬剤の効果を伝染させ退治する“ドミノ効果”をもった商品もあります。
1分間で理解する防蟻剤
チェック1 連鎖的に退治するドミノ効果とは?
チェック2 床下に薬剤を散布しない新工法も
最近は、床下に直接薬剤を使用しない「ベイト工法」も注目されています。シロアリの発生を確認後、家の周りにベイト剤と呼ばれる薬剤を散布。シロアリを巣ごと退治するものです。脱皮をする生物に効果を発揮するため、人やペットには無害です。
ワンポイント
シロアリにはさまざまな種類がありますが、中心となるのは下記の3種類です。
ヤマトシロアリ:背中と足の一部が黄色でそれ以外は黒色。4~6月に発生。
イエシロアリ:茶褐色。6~7月に発生。
アメリカカンザイシロアリ:頭と背中の一部が茶褐色。それ以外は黒色。6~10月に発生。
リフォマガ2020年11月号掲載
0コメント