初心者のための耐震リフォームの(在来軸組工法)現場調査~調査の注意点~

リフォーム営業初心者のために、耐震リフォームの現場調査について分かりやすく詳しく解説!耐震リフォームのエキスパートを目指そう!



Point3 調査のポイントと耐震工事例

耐震改修促進法に基づく耐震診断の実施ができるのは「建築士」かつ「国土交通大臣が定める講習を修了した者」と定められている。ここでは事前調査と、耐震診断の概要についてポイントをチェックしよう。耐震の調査依頼を請けたら、ヒアリングと資料収集をしよう。


具体的には…

●建物概要・所在地、用途、確認申請日、竣工年、延床面積、建築面積、階数、構造種別(在来木造であること)、基礎形式、仕上げ等

●関係書類の確認…確認申請書類、検査済証、設計図書(構造図があるか確認)、構造計算書、地盤調査資料等)

●増改築や改修の有無、被災履歴、生活していて不安に感じることがあるか等の聞き取り



耐震調査チェックポイント(木造軸組工法)

最初に建物平面図と現状建物に相違がないかを形状、壁、開口部の位置と寸法などを確認。平面図が無い場合は実測する。柱や筋交い等の確認では、近年はサーモグラフィーカメラなどの非破壊方法で確認することが多い。

1 床下

床下の基礎の配置、ひび割れや土台の状況、筋かいの位置確認、漏水やシロアリ被害の有無などを調べる。また、基礎の強度や金物をチェック。


2 小屋根

小屋裏・1階天井裏から小屋組や筋かい、柱と梁の接合状態、金物のチェック。屋根勾配も小屋裏から確認しよう。


3 壁・床

家の傾きや水平性が基準値以内か測定する。レーザーを用いて傾きをチェック。


4 床

床の傾きや床鳴りなどを確認。


5 屋根

屋根の種類や固定状況・劣化の状態を確認。


6 外壁

外壁のひび割れ等の有無や劣化状況の確認。


7 基礎

鉄筋基礎かコンクリート基礎かをセンサーで確認。



耐震性の向上のために行われる耐震工事の例

1 基礎

無筋基礎の補強や、弱った部分の基礎を補強するため既存の基礎の外側か内側に基礎を打ち増しする(イラスト)方法がある。既存が古く、布基礎でない場合や劣化が激しい場合は床をはがして基礎を作り直すことも多い。またヒビが入っている鉄筋入りの基礎の補修にはエポキシ樹脂を注入する等の方法がある。


2 屋根

和瓦やコンクリート瓦といった重い屋根材は、軽い屋根材に葺き替えて軽量化をすると、必要耐力(建物にかかる地震の力)の値が下がるため、耐震対策として有効な方法といえる。重い家ほど地震から受ける力が大きいということだ。また、地震で屋根材が落下する危険がある場合は葺き替えもしくは落下防止策を検討することになる。


3 壁

耐力壁をバランスよく増やす工事を行う。旧耐震では巨大地震を想定した設計をしていないため、耐力壁が少ない。また、1981年以降の新耐震基準で建てられていても、2000年の改正以前は耐力壁のバランスについては設計士任せだったため、例えば南側に窓を大きくとるために耐力壁が南面に少ないなどのバランスがとれていないケースが多い。このようなバランスがとれていない建物は、ねじれを起こして危険だ。


4 金物

古い建物ではイラストのような「かすがい」で構造材が固定されている。これでは大地震に耐えられない。そのためプレートやボックスタイプの金物や、柱の抜けを防ぐために「ホールダウン金物」を取り付ける。


5 構造材

腐れなどで劣化した構造材を補修、または交換する。水回りの土台や柱の腐れが多い。シロアリ被害も水回りに多い。床下の湿気が抜けにくい場合、基礎の換気口の前に物置が置かれていたり、物が置かれていることもある。



Point4 耐震調査の注意点

耐震調査時に、耐震補助金制度や税の優遇等、工事以外のことでお客様から質問を受けることがある。不明点は確認の上お伝えしよう。例えば耐震補助を受けるには、自治体により違いがあるが、登録業者による診断、耐震設計、耐震工事を行う必要があったり、県内の施工業者で工事をする必要があるなど、しばりがあるので注意しよう。



「耐震等級」と耐震診断の「評点」は違う

耐震等級

住宅性能表示制度に基づく建物の構造の強さの目安となるもの。地震に対する倒壊、崩壊のしにくさを表す目安になる。

▲評点の数値の目安


評点

耐震診断の結果算出される評点とは「上部構造評点」といい、建物の各階各方向別に求めた評点のうち最も低い評点がその建物の総合評点となる。例えば2階のX方向の評点が0.15だった場合は、他の評点(2階Y方向、1階X.Y方向)の評点が1.0でも0.15が総合評点となる。

▲評点の数値の目安



耐震診断の「評点1.0」とは?

「保有水平耐力」と「必要水平耐力」が等しい場合、1.0となる。

水平=水平方向に揺れる地震力

耐力=「保有耐力」はその建物が持つ抵抗する力、「必要耐力」はその建物に必要な耐力のこと

大地震時に崩壊、倒壊しないためには、建物が持つ抵抗力「保有水平耐力」を「必要水平耐力」より大きくする必要がある。つまり評点1.0が倒壊する可能性があるか否かの境の数値となる。



大きな吹き抜け、屋内ガレージがある場合は入念に

木造軸組工法の建物で一辺が4メートルを超すような大きな吹き抜けがあったり1階に屋内ガレージがある場合、強度に劣り、揺れでダメージを受け受けやすい。壁に亀裂などが無いか、入念にチェックしよう。



リフォマガ2020年4月号掲載


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