キッチン提案を成功に導く3次元プランニング術とは?
本当に使い勝手のよいキッチン空間を提案し現場を納めるには、平面だけの空間把握では難しい。左右・上下・高さにまで配慮してプランを作ろう。長年リフォーム業に携わる中澤広美さんに、3次元プランニング術を聞いた。
▲北王(本社 北海道帯広市)リノベーション事業部 中澤広美部長
短大を卒業後、リフォームの設計に従事。27歳の時に北王の設立メンバーとして参画。39歳でリフォーム部門の事業部長を務め、インテリア雑貨・家具ショップ「リライフ」で、リフォーム顧客の掘り起こしに注力する。2級建築士やインテリアコーディネーター等の資格を所有。1児の母。
【中津さんのキッチンリフォーム必勝法】
天井高・構造梁・窓…etc絶対に動かせない物を想像し見極める
「キッチンリフォームは平面図だけでは判断できない事が多くあります。構造梁や窓、電気の線など、現場調査の際は見えないものや絶対動かせないものを見極め、想像しながらプランしていく必要があります。」
それは建築的な事だけでなく、キッチン提案にも言える。調理時に施主自身が上下や左右にどんな動きをするのか、3次元で様々な要素を施主と一緒になって考える必要がある。
満足度の高い提案にはヒアリングが欠かせない。リフォームのきっかけや解決したい事はもちろん、実際どれくらい料理をするのか?誰が料理をするのか?将来的にはどんな風に使うのか?を把握する事も大切だという。
「キッチンをプランしていると最終的に予算の倍ほど金額がかけ離れてしまう事があります。揚げ物も滅多にしないし、お弁当を毎日作る事もないというお客様には、そこまで高性能のレンジフードは要らず、金額調整が可能です。将来的にご主人にも料理して欲しいのならば、カウンターを使いやすい高さにしたり、ご主人にキッチンを通って欲しくないという方にはキッチンを囲うプランも考えられます。」
厳しい現場条件と施主の暮らしに寄り沿った、リアルなキッチン提案を行っている。
提案中のプラン案を前提に冷蔵庫の選び方にも警告
家電の中でも冷蔵庫の置き場は、キッチンの使い勝手を大きく左右する。中澤さんは、冷蔵庫の開き勝手やサイズも把握し、使いやすい位置に来るようにプランニングするが、中にはリフォーム中に冷蔵庫の買い替えを検討している施主もいる。
「お客様にはこのプランのリフォームをご希望でしたら、こっちの開き勝手の冷蔵庫を選んでくださいね、と事前にお伝えするようにしています。また最近は、家電店で見て気に入ったものの、部屋や玄関ドアにさえ入らないサイズの冷蔵庫を買ってきてしまう方もいます。冷蔵庫が大型化しているので、事前に寸法を伝えるなど警告が必要です。最近はおかずや食品をストックする関係で冷蔵庫と冷凍庫を2個使いする人もいますね。」
また家電小物においても最適な収納量とスペースを把握に努める。購入予定の商品の品番だけ抑え、後からサイズを確認し図面に反映するなど抜かりのないプランニングを行っている。
▲2人でキッチンを使うご夫婦。カウンターはシンク側を90㎝、背面は85㎝の高さに。
まだある!キッチンリフォーム成功のポイント
給排水や換気経路に注意
特にレイアウト変更の場合などは、給排水や換気経路の要注意。壁付けから対面キッチンにする場合、給排水に勾配を取る必要があるので、現場によっては、床が上げる必要があったり、換気経路を確保するために、壁をふかしたりする必要がある。事前に工事条件を施主に伝えよう。
鏡面素材等は特に養生に配慮
ワークトップや扉材などを取り付け後も傷が付かないように配慮する。
「特に鏡面素材の扉や、ステンレスのヘアライン加工などは、傷が付くと目立ってしまいます。取り付け後も、掃除中などに傷が付かないよう、段ボール等で覆うようにしています。」
ショールームで盛り上がっても冷静に
現物を見ると興奮して、実際の家には設置出来ないキッチンを選ぶ施主もいる。
「ショールームに行く時は、物が入るか、設置出来るか、サイズ感覚は合っているかを常に図面と照らし合わせます。扉材と色柄が合うか確認するため、床材のサンプルを持っていく事も多いです。とにかく冷静でいるように心掛けていますね。」
収納扉や照明の干渉に注意
収納が照明や建具に干渉して、扉が開かないといったミスがよくありがちだという。
「若手のスタッフになると、図面だけで一生懸命説明しがちですが、扉はしっかりあくのか、照明とぶつからないか、天井高が低い現場では、消防法の関係でコンロからレンジフードまで800mm開けられるかなど、よくイメージする事が大切です。」
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