私がリーダーになった日~ライフプラン(栃木県小山市)武井 正浩さん

住宅設備機器商社の営業マンからリフォーム会社の社長へ

ライフプラン(栃木県小山市)代表取締役社長 武井 正浩さん



ヘッドハンティングでリフォーム営業の世界に

武井正浩さんの最初のターニングポイントは2010年、32歳の時に訪れた。栃木県内有数の上下水道・衛生・空調設備工事のヒタチ設備の横田学社長から「後継者として入社してほしい」と言われ続けて3年。悩んだ末に入社を決めた時だ。

「それまでやってきた商社の営業の仕事はやりがいがありましたし、社長賞をいただくなど評価もされていました。辞める理由がなくて、ずっと迷っていたんです」と武井さん。

決め手となったのは、横田社長の経営者としての手腕だった。「私が色々な経営者を見てきた中で、横田社長はダントツの存在でした」

ヒタチ設備はハウスメーカーやゼネコンの下請け工事がメインだが、将来を見据えて下請けから脱却すべく、2004年にリフォーム会社のライフプランを設立していた。また、ヒタチ設備の経営事項審査の結果も優良で、対外的にも高い評価を受けていた。さらに、横田社長には3人の子どもがいたが、子ども達には好きな道を選ばせ、家業ではなく、企業として会社を発展させようという方針を掲げていたことも武井さんの心に響いた。

ヒタチ設備には常務取締役として入社。同時にライフプランの専務にも就任し、リフォーム事業の拡大に奔走した。



社員が辞めた理由は自分の働き方のせい?

商社時代、製品をアピールしても、価格の高さを理由に施工会社が購入してくれないジレンマがあった武井さん。リフォーム営業になってからは、顧客にダイレクトに商品の良さを伝えようと、各メーカーのショールームを活用。実際にモノを見てもらう営業方法で、TOTOのトイレ・ネオレストを10年間で300台以上販売するなど、実績を伸ばしていった。

蛇口の取り替え工事でも、1000万円超えのフルリフォームでも、武井さんの顧客に対するテンションは同じ。金額の違いで熱量が変わることはない。「蛇口1個が何千万円の受注につながることがある」からだ。

そんな熱い武井さんだが、8年前、苦い経験を味わった。自分が引っ張ってきた社員が、半年後に辞めてしまったのだ。「その方は元々個人事業主で、経営者的な視点で仕事をしてくれるだろうと期待していました。私はお客様が困っているのなら、休みでも対応したいタイプ。しかし、その方は違いました」

この頃は365日24時間、顧客からの問い合わせに対応できるよう、会社の電話は自分の携帯に転送するようにしていた武井さん。成約率を上げるため、問い合わせが来たらすぐに見積もりを作成。誰よりも早く出社し、誰よりも遅く帰社していた。「私と同じようにしてほしいと強要したわけではありませんが、そうせざるを得ない状況になっていたと思います」

自分の働き方をどうすべきかが、これからの自分の課題だと、武井さんは考えている。



脱・下請け化を加速
直接受注を増やしたい

現在、武井さんの業務の比率はヒタチ設備7割、ライフプラン3割。ヒタチ設備の脱下請け化を加速化すべく、ビルやマンションなどの改修工事を直接受注できるよう、日々画策している。リフォーム営業は一部のOB客に限定して対応しているが、「本音は毎日、リフォームのお客様のところに行きたいです」と苦笑いする。「でも、先代の社長が立派に育てた会社を引き継いだからには、お客様や社員、社員の家族のためにも責任を全うしたいと思っています」



《言いたいことを言いやすいリーダー》

先代社長が厳しい人だったのに比べると、私は相談はしやすいリーダーだと思います。社員から「言いたいことを言いやすい」リーダーでもあるかもしれませんね。いいことも悪いこともすぐに報告してくれます。

〔先を見据える力〕シャワーヘッドのミラブルの販売前からサイエンスと代理店契約をしました。ミラブルがヒットした当初は問い合わせの電話が鳴りっぱなしになったので、先を見通す力はあったかと自負しています。

〔営業経験〕営業一筋でやってきたので4。

〔判断力〕転職するのに、3年間も悩んだので3。

〔環境づくり〕土日休みにし、完全週休二日制を掲げているので3。



お話をうかがったのは…

ライフプラン(栃木県小山市)代表取締役社長 武井 正浩さん

46歳。群馬県館林市出身。大学卒業後の2000年に群馬県の住宅設備機器の商社に入社。館林の営業所に配属される。ルート営業に飽き足らず、小山市まで市場を広げようと営業活動をスタート。その時、ライフプランの親会社・ヒタチ設備の横田学社長(現:相談役)に声をかけられ、2010年にヒタチ設備に入社。すぐにライフプランの専務として、事業の拡大に奔走。令和元年にヒタチ設備の代表取締役社長に就任。令和6年4月、ライフプランの代表取締役にも就任した。年商はヒタチ設備が13億円、ライフプランは3億8000万円



リフォマガ2024年7月号掲載

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