【THE SHOKUNIN】顧客のイメージを壁紙で表現。感動してもらえる職人を目指します

【内装職人】大野悠樹さん(26歳)

リフォームの営業担当者にとって、熟練の職人さんは大切なパートナー。今回登場するのは内装職人の大野悠樹さん。特に特殊壁紙の施工を数多く手掛ける、気鋭の若手職人だ。

▲顧客が思い描く部屋のイメージを引き出すため、色々な質問をする大野さん。大柄な模様が好きなのか、小柄が好みなのか。モダンかクラシックか、どんな国のテイストが好きかなど、時間をかけて聞き出していく。「そのヒアリングお客様がなぜリフォームをすを元に、何日もかけて壁紙を選びます」



特殊壁紙との出会いで壁紙の面白さを知る

家族で泊まったテーマパークのホテルで、大野悠樹さんはデジタルプリントの壁紙と出会う。それまでは白いクロスを張る仕事が多かったが「これなら、お客様のイメージを形にできる」と興味が湧いた大野さん。加えて、輸入壁紙の専門商社テシードのショールームの施工に携わったことで、豊富な柄の壁紙を目の当たりにし、壁紙の概念が180度変わった。

さらに一流の職人と一緒に仕事をする機会に恵まれ、施工に対する考え方も変化した。「その職人さんは、お客様の視線の先に好きな柄がくるように、柄の位置を調整していました。そうすることで仕上がりが全然違うのです。それ以来、私はお客様の身長や好きな柄の部分を聞くようになりました」。

▲以前、親切にしてもらった外国人にお礼が言えなかった経験から、大野さんはいつも多言語で感謝の気持ちを伝えるためのカードを持っている。外国人・日本人問わず、「この人、素敵だなと思った方に渡しています」



見えないこだわり
下地の色は統一

大野さんが現場で気をつけているのは「養生の仕方」。シートは際まで隙間をつくらないようにぴっちりと留め、段差がある部分は目立つピンクの養生テープを貼っておく。施主が誤って転ばないようにする配慮だ。

また、壁紙を張る前には、下地の色を統一する。「下地の色にムラがあると、壁紙の柄の色が濃く見えたり、薄く見えたりします。お客様に最高のクオリティを提供したいので、見えないところもこだわっています」

▲床の間に青地の桜模様の壁紙を施工。足元の段差には、ピンクの養生テープを貼って、顧客が転ばないようにしている



仏壇に手を合わせ「施工させていただきます」

大野さんは施主宅に仏壇があると、必ずお線香をあげ、「この家を施工させていただきます」という気持ちを込めて手を合わせる。また、子どもがいる家庭なら、施工が終わった時にボールなどのプレゼントを用意する。そうした誠実な大野さんの態度に、顧客は感動する。

仕事の質が高いのは職人としては当たり前。そこに「感動」という付加価値をつけることが大切だと大野さんは考えている。



将来はヨーロッパを拠点に活動したい

「自分は人との出会いに恵まれている」と話す大野さん。人生の良いタイミングで世界観を変えてくれる人が登場し、今では特殊壁紙の仕事を中心にすることができた。

「将来的にはヨーロッパで仕事がしたいと思っています。僕はイギリスのコール&サンの壁紙が大好き。その壁紙の国に行って、技術的にも認められたいと思っています」

▲壁紙糊付機を操作する大野さん。作業する場所は常に整理整頓している

▲人気のウィリアム・モリスの壁紙。こうした柄のあるものは、顧客の視線の先に好きな柄がくるように配置する



推薦の言葉

株式会社K3代表 君和田重則さん

私が以前、施工店のネットワークを運営していた時に、大野さんが参加してくれたのが最初の出会いです。20代という若さで、白い壁紙だけでは飽き足らず、さらに難しい材料にも挑戦しようとしていた大野さんは、稀有な存在でした。

志が高い職人さんに共通していることですが、大野さんはとても謙虚で勉強熱心。所作を見るだけで、どういう職人かわかります。特に、お客様が在宅している現場の場合、言葉づかいや服装、道具の管理など、すべてにおいて気を遣わないといけません。それが自然にできている大野さんは本当に素晴らしい職人です。

大野さんにはSNSをさらに活用して、壁紙の仕事を若い人たちに広めてもらいたいです。大野さんのような志を持った職人さんが全国に増えていったら、業界のためにもなると考えています。



大野さんからリフォーム営業担当者にメッセージ

「こうしてもらうと嬉しいなぁ」

お客様がなぜリフォームをすることになったのか、教えてもらえると嬉しいです。雨漏りで仕方なくなのか、部屋の雰囲気を変えたいのか。それを知っておくことで、会話がしやすくなります。

できれば、風水にこだわりがあるお客様かどうか教えてもらえると助かります。「この日は絶対に工事は避けたい」という希望があったり、風水的に鏡の位置を決めていて、作業中でも移動させるのを気にされる方もいます。工事をスムーズに進めるために、そうした情報を教えてもらいたいと思っています。



リフォマガ2023年4月号掲載

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