今回登場するのは、セルコホームの営業・茂庭秀司さん。異業種からリフォームの世界に飛び込み、誠実で勉強熱心な人柄でリピーターを増やしている。
▲セルコホーム(宮城県仙台市)ホームコーディネイト事業部 ライフサービス部 リフォーム課 茂庭 秀司さん(42)
宮城県仙台市出身。以前はアパレル販売の仕事に従事。百貨店などでアウトドアウエアや紳士服のショップで接客を担当していた。現在の上司がその時の顧客だったことが縁で、リフォームの営業としてセルコホームに入社した。
アパレル業界から転職
お客様目線で一から勉強
新築住宅を数多く手がけ、近年はリフォーム工事にも力を入れているセルコホーム。
同社リフォーム課の茂庭秀司さんは、セルコホームに入社するまではセレクトショップやアウトドアウエア、セミオーダーの紳士服のショップで販売担当をしており、アパレルの仕事一筋。リフォームの仕事は未経験だった。
「入社当時は建築関連の知識がまったくなかったので、一から勉強するつもりで、先輩の後について勉強していました」と話す茂庭さん。
当時茂庭さんが最初に行ったのは、セルコホームの顧客向けのパンフレットを読み込むこと。
「リフォームのことをよく知らないのは、私もお客様も同じ。まずはお客様目線で、何に疑問を持たれるのか、セルコホームは他社と何が違うのかを考えながら熟読しました」
現在の業務は、新築住宅のオーナー宅への定期訪問に同行し、アフター(定期点検担当者)と一緒に、オーナーの困りごとを聞くこと。
そこでリフォームの要望があれば、茂庭さんが引き継いで担当する。定期点検時以外にも、顧客からのリフォームの相談が入った時に対応している。
接客をしてきた前職のスキルが役立つことも多い。
「セミオーダーの紳士服店では、生地選びからサイズ感、ボタンの色までお客様の好みを聞き出して、1着を作り上げてきました。お客様のニーズを探るスキルは、現職でも役立っています」
わからないことは正直にわからないと伝える
茂庭さんが営業する上で大切にしているのは「嘘をつかない」こと。
「正直、リフォーム業界に入ってまだ4年ほど。他の営業の方に比べて、技量的には劣っています。お客様にはわからないことはわからないと伝え、『専門の担当者に確認して連絡します』と対応します。その場は繕えても、結局、化けの皮は剥がれてしまいますから」
他にも大切にしているのは「スピード感を持って対応する」こと。「お客様は困っているからご連絡いただいています。ですので、部署全体でスピード感を持って対応するようにしています。スケジュールが空いていたら、その日の内に伺いますし、簡単な修理ならその場で私も行います」
茂庭さんは顧客の困りごとを解消しつつ、他にもリフォーム需要がないか、聞き出していく。
「コロナ禍以降、半導体不足の影響で給湯器が品薄で、交換に時間がかかっていました『給湯器の調子はどうですか』と聞いて、もし交換を考えているようなら、早めのリフォームをおすすめしています」
自然災害後のフォローはショートメッセージ
東日本大震災後も大きな地震に見舞われることが多い宮城県。2022年3月にも仙台市内で最大震度5強の地震が発生した。そのため、「壁にひびが入った」「クロスが破れた」など、修理の依頼も少なくない。
山形県では2022年2月、大雪による被害もあった。外壁や雨樋の修理、屋根に雪が積もらないようにする工事など、リフォーム依頼は今も続いている。
このような自然災害があった時、茂庭さんは顧客に「家は大丈夫でしたか?」と連絡を入れている。ほとんどは携帯電話の番号にショートメッセージを入れるスタイルだ。
「ご高齢のお客様には電話でご連絡することもありますが、ショートメッセージの場合が多いです。直接電話が来てしまうと、重たく感じる方もいるからです」と茂庭さん。ほどよい距離感で、バランスをとっている。
こうした顧客を気遣うこまめな連絡が、新たな受注を生み出している。
三つの県を自動車で移動隙間時間を有効活用
通常のリフォーム案件に加え、自然災害による修理なども加わり、茂庭さんは、宮城・福島・山形の三県を自動車で飛び回っている。
「今の時期、山形では保険の審査が降りて、これでやっと屋根の修理をしようというお客様も多いです。早めに着工できるように急いでいます」
多くの案件をこなすため、茂庭さんは効率を考え仕事をしている。事務所でしかできない仕事以外は移動時間を活用。メールチェックなどはサービスエリアで済ませている。
「会社からiPadが支給されていますので常にそれを駆使しています。iPadはお客様の情報や図面も見られるようになっていて、隙間時間に仕事ができて便利ですね。今、やるべき仕事は何か、自分の仕事に優先順位をつけるようにしています」
年間売上6000万円カギは効率化と単価アップ
茂庭さんの年間売上目標は6000万円。月に換算すると約500万円だ。
「この数字をクリアしている月もあれば、もう少しという月もあります。波はありますが、達成できない数字ではないと、自分では思っています」
達成できるかどうかのカギは、どれだけ迅速に多くの案件を担当できるかどうか。それとプラスアルファの提案で、客単価を上げていくことも重要だと考えている。
ある60代の女性から、地震で基礎部分にひびが入ったので修理してほしいという依頼があった。茂庭さんが丁寧にヒアリングしていくと、地震とはまったく関係のない、玄関のフローリングが古くなったことを気にしていた。そこで、フローリングのワックスの塗り替えを提案したところ、次にはトイレも交換してほしいと、トントン拍子に依頼がつながった。
「玄関のフローリングが新しくなったことをとても喜んでいただきました。『これだけきれいになると、他の場所もリフォームしたくなるわ』とおっしゃって受注が続きました。引き続き、お客様の満足度を維持できるように努力したいと思っています」
今後の目標は1000万円超の大型案件に挑戦すること
茂庭さんの今後の目標は、大型の案件を手がけることだ。
「私は経験が浅いので、これまで担当したリフォームの上限額は600万円ほどです。ゆくゆくは、1000万円を超えるような大型の案件を担当したいと考えています」
1軒丸ごとフルリノベーションするようなリフォームを担当するのが、これからの茂庭さんの夢だ。
「知識やスキルは勉強し続けますが、補えない部分は『心で勝負』していきたいです。私の人間性を信頼していただけるよう、これからも努めていきたいと思っています」
▲東北支店の事務所に配属されている茂庭さん。支店は大規模木造建築物で、吹き抜けのある心地よい空間。カナダからの輸入住宅も手がけており、同国の国旗が飾られている
▲茂庭さん愛用のアイテムはiPad、手帳、ノート。以前はグーグルカレンダーを使っていたが、手書きの手帳に戻った。「書くことによって覚えるので、私には手帳が合っていますね」と茂庭さん。ノートには、これまで現場などで見聞きしたり、先輩に聞いたノウハウをまとめている。顧客情報などがあるので中は紹介できないが、丁寧な字で要領をまとめている
20年目点検でリフォーム受注
キッチンの臭いがリビングに流れることを気にしていたので、レンジフードを交換。レンジフードを新しくすることで吸引力も上がり、掃除も簡単になるとすすめた。
風呂の交換は以前から検討しているとのこと。コロナによる設備機器の納期遅延が発生していることを説明し、寒くなる前に給湯器の交換をセットで提案した。
「キッチンを入れ替えないと交換できない」と思われていたビルトインタイプの食洗機は、交換が可能なことを伝えると受注につながった。
いずれの工事も、セルコホームの20年点検内容外のものだった。
リフォマガ2022年12月号掲載
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