トイレの出入り口 出入りを楽に、安全に
毎日、使用するトイレ。安心して使うためにバリアフリーを考えたい。まずは安全に出入りできることがトイレのバリアフリーの第一歩だ。
誰もが出入りしやすいトイレにしよう
バリアフリーで安心・安全に
トイレの出入り口は、開き戸タイプが一般的。使いづらくてもそれが当たり前だと思っている人も多い。開き戸は、開閉のときに、前後に移動しながら体をひねったりするため、バランスを崩しやすい。高齢者や体が不自由な人にとっては使いにくい出入り口だ。引き戸や折れ戸なら、立ち位置を大きく変えずに開閉できる。バランスを崩すことなく、出入りができるだけでなく、車いすなどでの出入りもしやすくなる。
また、出入り口のバリアフリーを考えるなら、開口部は750mm以上を確保したい。車いすでの出入りには900mm以上が必要になる。引き戸や折れ戸は、開閉のためのスペースが小さくて済むわりに、開口部を大きく取りやすい。狭いところでも開口部の広いトイレをつくることができる。古い住宅のトイレは、出入り口に段差があることも。段差解消スロープを使うなど、つまずきを防止する工夫も施したいものだ。車いすを想定するならできるだけフラットな床にすべきだ。
なお、引き戸には開き戸に比べて、音やにおいが漏れやすいというデメリットがある。デメリットを理解しておくことも必要だ。
トイレの出入り口のポイント
楽に開け閉めできる
引き戸や折れ戸は、バランスを崩すことなく開閉できる
開口部がひろい
つえを使う場合や介助が必要な場合は750mm以上車いす使用の場合は900mm以上
段差がない
つまずきの原因になるため、わずかな段差も解消する車いすでの出入りがあるなら、床をフラットに
【豆知識】内開きのドアは危険
古い家のトイレには内開きの扉もある。しかし、トイレの出入り口は原則「外開き」にすべき。万が一、トイレの中で人が倒れたときに、内開きでは倒れた人に干渉してしまい、扉が開かなくなる心配があるからだ。内開きのトイレドアがあったら、外開きへの交換をすすめたい。
外開きにするスペースがなくても、引き戸や折れ戸なら設置できる。バリアフリーの観点からもより安心な出入り口になる。
ただし、折れ戸の場合は、折れた扉の一部がトイレの内側に入り込むものもある。干渉せずに開閉できるかの確認が必要だ。
【知っておこう!】扉の種類による違い 開閉しやすいのは引き戸や折れ戸
開き戸
- 開閉時、からだのバランスを崩しやすい
- 扉を開けるときのデッドスペースが大きい
引き戸
- からだをひねらずに開閉できる
- 開閉のためのデッドスペースは最も小さい
- 扉の引き込みスペースが必要
折れ戸
- からだをひねらずに開閉できる
- 開閉のためのスペースは小さめ
- 折りたたんだ扉が邪魔になることも
出入りしやすいトイレドアのいろいろ
アウトセット引き戸
リフォームで取り入れやすい
- 壁に取り付けたレールに扉を吊り下げる方式
- 後付け工事が簡単で、錠受けも設置できる
ラシッサS 片引戸トイレタイプ アウトセット方式(LIXIL)
3枚連動引き戸
左右どちらからも開閉できる
- 左右どちらからでも開閉できる3枚引き戸
- 広い開口部で出入りも介助も楽にできる
ベリティス 3枚連動引違い(パナソニック)
折れ戸
省スペースで開閉できる
- 既存枠にアタッチメントを取り付けて折れ戸に
- 開き戸に比べて開閉スペースは約1/2
かんたんドアリモ(YKK AP)
連動折れ戸
扉が3枚に折れて開閉
- アウトセット方式なので、工事は1日で完了
- 折れた扉がトイレ内に入らない設計
ラシッサUD アウトセット方式 連動折れドア(LIXIL)
引き戸+開き戸
引いて開いて開口部を広げる
- 通常は引き戸部分だけを開けて出入り
- 開き戸を開けると開口部は最大1135mm
ひきドア(大建工業)
L型開放プラン
L字型に開けて広々した開口部
- 引き戸と開き戸でL字型の開口
- 広い開口部を確保でき、介助を楽にする
セーフケアプラス L 型開放プラン(永大産業)
安心機能付きのドアで より安全に
ゆっくり開閉
パナソニック
握りやすいハンドル
大建工業
指はさみ防止
YKK AP
ほかにも出入り口の危険を減らす工夫を
ドア横に手すり
ドアの開閉や出入りの際に体を支える
段差解消スロープ
出入りの際のつまずきを防止する
リフォマガ2022年9月号掲載
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