施工しやすい！北米シェアは8割以上
柔らかく、加工しやすいため、施工性が高い。日本国内の住宅でのシェアは低いが、カバー工法など屋根リフォームの建材としても今後注目の屋根材だ。
加工しやすく、複雑な形状にも対応
基本性能を備えて、コスパよし
シングル屋根は、不燃布やグラスファイバーなどの基材にアスファルトを含浸させ、表面に細かい石粒を貼り付けたシート状の屋根材だ。柔軟性があるシート状のため、曲面への施工も可能。現場でのカットも簡単で加工がしやすく、いろいろな形状の屋根に対応できる。
表面の石粒が美しく、意匠性を生み出す。それだけでなく石粒には保護の役割もあり、耐久性や防水性、防音性などの基本性能にも優れている。
重量は瓦の4分の1、スレートの2分の1ほどと軽量だ。そのため、建物への負荷を抑えることができる。瓦やスレートの葺き替えにシングル屋根を選べば、屋根の重量が今より軽くなるため、耐震面でも有利だ。比較的、価格も安く、塗装によるメンテナンスが不要なものもあり、ランニングコストを抑えることもできるなど、費用面でもメリットが大きい。
国内では、住宅でのシェアはまだ少ないが、集合住宅や商業施設などで実績がある。施工しやすく、安価で取り入れやすいなどメリットも多いので、戸建住宅での採用も増加傾向にある。カバー工法や葺き替えなど、屋根リフォームの建材としても注目だ。
シングル屋根のポイント
○加工・施工がしやすい
○軽量
○防音性がある
○割れやさびに強い
○比較的、安価
×強風に弱い
×勾配が緩い屋根には使えない
×カビや苔が発生することもある
【知っておこう！】アメリカ・カナダでは100年以上の歴史がある屋根材
シングル屋根の歴史は古く、北米などでは100年以上もの間、メジャーな屋根材として使われてきている。アメリカ・カナダでのシェアは8割を超え、屋根材としての実績は十分。日本では和瓦が主流だったこともあり、シングル屋根のシェアは数パーセントほど。ユーザーの認知度もまだまだ低いが、今後のシェア拡大が期待できる。
【豆知識】2007年以降、防火・準防火地域で使用可能に
以前のシングル屋根材は火に弱いというイメージもあったが、現在では飛び火認定を受けた製品が増えている。2007年の建築基準法改正で条件は厳格化されたが、条件を満たしていれば、防火・準防火地域でも使用できるようになった。
飛び火認定：一定の防火基準を満たしている場合に取得でき、防火・準防火地域での採用が認められる。
シングル屋根のいろいろ
ロアーニⅡ（田島ルーフィング）
天然砕石仕上げで重厚感がある
- 10年ごとの正しいメンテナンスで、10年目、20年目の塗装は不要
- 全2色
ロフティー（田島ルーフィング）
大粒の天然石で高耐久仕様の屋根に
- 耐用年数25年。大きなスレート砂の粒で意匠性も向上
- 全3色
リッジウェイ（旭ファイバーグラス）
立体感のある陰影が美しい
- ランダムな粒状彩色石のグラデーションカラーで深みのある表情
- 全5色
▲スレート屋根をカバー工法した施工例
アルマ（ニチハ）
セラミックコーティングで色を維持
- 表面粒状石に特殊コーティングした石を混ぜ、防藻性能を付加
- 全5色
▲葺き替えによる施工例
5～10年に一度の定期点検を
天然石粒が表面に敷き詰められているため、劣化しにくく、塗装によるメンテナンスは原則不要。ただし、めくれや剥がれなどの不具合が発生していないかなど、定期的に点検を。劣化があれば状況にあわせたメンテナンスを行う。
台風のあとには積極的に点検を
強風で剥がれやすいため、定期点検以外にも状態のチェックを行いたい
施工に要注意！
- 石粒が剥がれて落ちる？！
製造過程で多めに石粒を付けるので施工したばかりのときは表面の石粒が落ちることも。屋根の性能には問題ない。事前説明の上で施工すると苦情にならない。
- 積雪地域は施工前に要確認！
多雪地域では使用できない商品もあるため、施工可能地域かどうかの確認を。屋根の雪下ろしのときにスコップなどで表面を傷つけないよう、配慮が必要。
- 塗装は水性塗料で
油性塗料は使えないアスファルトシングル用の塗料もあるので、最適な塗料を使って寿命を延ばしたい。
リフォマガ2022年8月号掲載
0コメント