【THE SHOKUNIN】ストレスのない、大規模修繕ができたらと常に思っています

【タイル職人】馬場頌伍さん(34歳)

▲マンションの外壁タイルを補修する馬場さん。タイルがとても小さいため、電動工具が使えないので、手で剥がしていく



リフォームの営業担当者にとって、熟練の職人さんは大切なパートナー。今回登場するのはタイル職人の馬場頌伍さん。外壁の下地補修や防水加工までも手がける、若き職人にインタビューした。



次の大規模修繕にも呼んでもらえるように

タイル職人だが下地の補修や防水加工、コーキングもできる馬場頌伍さん。所属する橋本工業はマンションやオフィスなどの工事を請け負うことが多く、タイル以外の工事もできることが馬場さんの強みとなっている。

馬場さんが常にこだわっているのは「お客様の満足度」だ。5年後、10年後まで修理したところが維持でき、「次の大規模修繕の時にも呼んでもらえるような仕事を心がけています」と馬場さん。

外壁を補修する時には、なるべく元通りに、見た目が変わらないよう努めている。

「お客様は新築当時の外壁になるとイメージされます。修理をした所だけ雰囲気が変わったといったことがないように、気を付けています」。また、タイルが度々割れてしまうようなら、下地に問題がないかチェックし、補修の提案もしている。

作業時に気をつけているのは、二液型の材料の配合だ。防水工事の材料で、1kg入れるところを間違って、500gにしてしまうと、固まらなくなってしまう。そうすると作業した部分を全部剥がすことになる。馬場さんは「計量の作業は実は繊細なんです」と話す。

一液型は手間は少ないが、表面から固まるので、中まで固まったかわかりにくい。二液型は中から早く固まり、価格も安い。一液型、二液型それぞれにメリット・デメリットがあることを考えて、二液型をチョイスしている。


▲タイルの下に出ていたクラック(ひび割れ)。この部分を修復してからタイルを貼り直す

▲防水工事の材料は二液型を使用。配合を間違えないよう、秤を使ってきっちりと計量している

▲この日の現場は隅田川にほど近いマンション。10階の高さでの作業となった



お客様の立場になって工期や作業方法を考える

馬場さんはマンションの工事中、そこに住んでいる人の生活も大切に考えている。音が小さいドリルを使ったり、オフィスなら大きな音の出る作業は昼休みに集中させたりしている。

「お客様の立場に立たないと、人間関係がうまくいきません。『俺は職人だからやりにきた』という態度は今は通用しないです。例えば、足場がずっと組んであったら、洗濯物が外に干せないですよね。自分だったら『ふざけんなよ』という気持ちになります(笑)。なるべくお客様に迷惑かからないように、最短の工期を組みたい。お客様にストレスなく、大規模修繕ができたらいいなと常に思っていますね」

▲馬場さんが愛用している道具の1つ。これはコーキングの時に使う竹べら。左はホームセンターで売っているもので、右がかっぱ橋の製菓道具の店で購入した幅広タイプのもの。幅が広い方が、しなりがかからず使いやすい

▲こちらは防水工事の時の道具。ハサミは防水テープを切るのに使用。シリコンのヘラも数種類あるが、右端のものも製菓道具店で購入。防水施工の講習会で勧められてから愛用している

▲コーキング用のヘラは左手に持っている持ち手がないタイプを愛用。こうやって指に挟んで持っている時に疲れないのが理由

▲かなづちは持ち手がゴムのものと木のものを使用。タイルを貼る時には振動がダイレクトに伝わる木を、手でタイルを剥がす時には握りやすいグリップのあるゴムのものを使用。2年ほど前から使い分けている



推薦の言葉
有限会社橋本工業 代表取締役 橋本祐一さん

そもそも弊社は防水工事で起業した会社でした。そこにタイル工事の技術を持った馬場さんが入ったことによって、仕事の幅がかなり広がりました。元々弊社でお願いしていた協力会社さん以外にも、彼のつながりで、色々な業者の方が協力してくれるようにもなり、とても助かっています。

大規模修繕の場合、弊社が請け負う工事の他にも塗装や外構工事など、多い時には数十人の職人さんが現場に入る時があります。そんな時、彼は人員の配置や打ち合わせなどの段取りをうまく付けてくれます。年配の職人がいたら、その人の立場も立てながら、お客様に迷惑がかからないように配慮をする。コミュニケーション力が非常に高い人間です。

弊社に入社した頃は、私から彼に仕事のことを教えるという意識がありましたが、今では逆に彼や若い社員から教わることが多くなりました。「この工事はこのやり方」という固定観念に囚われず、彼なりの考え方、工事の進め方に「なるほど」と感心することもあります。使っている道具や工具についても、効率的に安全に作業を進められるよう、常に工夫しているなと感じています。



馬場さんからリフォーム営業担当者にメッセージ

「こんな営業さんはすごい!」

できる営業さんは電話から全然違います。声のトーンが高くて、明るいし、はっきり聞こえて流れるように話が通ります。すると、仕事がスムーズに進みます。反対に、言いたいことがまとまってなく、何が言いたいのかわからない電話は困ってしまいます。人と人とが一緒に仕事をするのだから、電話一本でも自分は失礼のないように気を付けています。


「こうしてもらうと嬉しいなぁ」

知識がある営業さんだと、見積もりの漏れがなくて助かります。後から僕が外壁を見た時、「あれ?なんでここも見積もり取らなかったの?」ということになると、追加工事が発生して後出しジャンケンと同じことになってしまいます。特にマンションの大規模修繕の場合、金額が大きく、修繕積立金の他に融資を受けて発注する管理組合もあります。なるべくお客様に不信感を持たれないようにしたいと思っています。

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