現場の安全と衛生を守る養生の極意
施主の大切な住まいを、傷や汚れから守る大切な工程が養生だ。特に住まいながらの場合、暮らす施主のストレスをケアする気遣いも重要。形に残らないものの、良し悪しで印象は大きく変わり、養生きっかけで次の受注に繋がることも。こだわりの達人技を紹介する。
傷・日焦け・変色を防ぐ
素材を知り尽くした養生術
自然素材にこだわり、新築とリフォームの施工を行う無添加住宅では、そうした素材ならではの通常の建材とは異なる養生ノウハウを蓄積。住まいの健康や安全に関心を持つこだわり層の施主も納得の養生を行っている。
例えば、床の養生シートと巾木の間には隙間を作らないように徹底。1ヶ月程度でも無垢の床材は養生されているところとされていないところでは、太陽光を浴びることで日焦けをする部分としない部分がはっきり出てしまうからだ。また、無垢の床材は線傷に弱い。養生テープに浮きがあるとその隙間に砂や埃が入り、線傷が入ってしまう。
「凹みなどは後で対処できるのですが、線状の傷はどうしても残ってしまうので、それを防ぐために養生テープの浮きは絶対に発生しないようにお願いします」(中上均さん)
自然素材の扱いにまだ慣れていない職人には、現場管理の担当が修正点をすぐに指摘することも大事。素材の特性の説明も含め、細かく伝えることで養生の技術を修得してもらう。
▲自然素材を扱うためには養生でも配慮が必要
変色しやすいタンニンには要注意
無添加住宅では床材や現しの梁に柿渋を仕上げの塗料として使うことが多い。柿渋に含まれるタンニンはアルカリ性の漆喰が付着すると黒く変色してしまう。そのため、漆喰を施工する際には細かな飛びも付着しないように完全養生で対処する。
ベイマツの赤い部分にもタンニンは含まれており、現しの梁にベイマツを使用する際にも漆喰の施工の際には完全の包み隠して化学変化が起きないようにしている。付着から一晩程度しか経過していないならば、クエン酸などで漆喰成分を抜くこともできるが、そうした手間を防ぐためにも養生が重要だ。
お話をうかがったのは…
無添加住宅(大阪府大阪市)リフォーム・リノベーション室 室長 中上均さん
自然素材を用い、化学物質を使わない住宅づくりを新築・リフォームで行う。今は本部で同様のこだわりを反映した定額リノベーションなどの商品開発も行っている。
リフォマガ2021年10月号掲載
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